訪日2000万人の消費額は4.3兆円、旅行全体の13%−取扱額は約3%に留まる

主要旅行会社の外国人取扱額も、07年の628億円の3倍となる1884億円と予測。ただし、日本人の海外・国内旅行の取扱額が変更しない前提で推計した場合、旅行全体の総取扱額に占める外国人取扱額は現在の約0.9%から約2.7%とわずか3%とし、予測を発表した総合観光政策審議官の本保芳明氏は「今のままではビジネス的にうまくいかなくなるだろう」と警鐘を鳴らした。ワーキンググループメンバーであるに出席した千葉商科大学学長の島田晴雄氏からは「インバウンドはごく最近になって強化されたが、アウトバウンドと差が開いたのはビジネスモデルが下請けで実入りが少なかったから」とし、「このままで本当に拡大できるか」と意見を述べた。
▽2000万人時代は中・韓・台で約6割、中国600万人で1位に
観光立国推進戦略会議の観光実務に関するワーキンググループ第1回会合で本保氏は2000万人に向け、「国全体が取り組むことが不可欠」とし、国民運動的な機運作りを呼びかけた。また、2000万人の実現に向け、国・地域別構成として中国、韓国、台湾の3市場で全体の60%となる1200万人とし、特に中国は07年比538%増の600万人、韓国は53.8%増の400万人、台湾は43.8%増の200万人との目標値を立てた。
これに対し、ワーキングメンバーからは次回の議論に向け、「韓国と台湾は日本以上に出生率が低下しているのに期待できるか」「インドは185%増の20万人だが、もっと重視するべき」「対象国の国民が旅行に出かける余裕があるか」といった意見が示された。このほか今後の会合に向け、「インバウンドと国内観光を別々に考えるべきではない」「語学教育を強化すべき」「安全確保という点で、会合には警察にも入ってもらうべき」や、インフラや日本の魅力を伝えるブランド作りなど、さまざまな意見が上がった。
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