大韓航空、2010年に韓国で販売手数料を廃止−本邦企業の判断の指標となるか

  • 2008年7月10日
 大韓航空(KE)は韓国国内の旅行会社に対し、2010年1月1日から国際線航空券の販売手数料(コミッション)を廃止することを通知、韓国でもゼロコミッションの時代に突入する。KEが韓国のBSP代理店に行った説明では、世界的な潮流にあわせた決定とした上で、「韓国市場での慣行を勘案して旅行会社に対して充分なリードタイムを設けた」としている。また、コミッション制度について、「航空会社と旅行会社を中心に料金が形成され、相対的に消費者は蚊帳の外」と課題を指摘。今後は「航空会社は純粋な航空券価格のみを旅行会社に提示する。販売価格は旅行会社が提供するサービスクオリティにより決定されるため、消費者はレベルの高いサービスと多様な選択の機会を持つようになる」とみる。ただし、「旅行会社と航空会社間の信頼構築および共同努力が必要」ともしており、新たな時代の両者の関係を述べている。なお、KE日本支社によると、日本市場での対応に変化はない。

 この動きで特に注目されるのは、日本と同様に比較的高いコミッション率を提示していたKEが、本拠とする韓国国内でコミッション廃止を決めたことが、日系航空会社の判断、対応、時期にどのような影響が及ぶかだ。韓国市場にくわしい関係者によると、日本と韓国市場の大きな差異は、韓国では航空会社の論理が強いこと。日本ではノースウエスト航空(NW)、ユナイテッド航空(UA)がコミッション廃止を旅行会社に通知しているが、日系航空会社に今のところ動きはなく、この動き次第で対応を検討する外資系航空会社も多い。さらに、日本市場のシェアを持ち、商取引の慣行をリードする日系航空会社がコミッション廃止を判断する時期は近いと見る向きも多く、一部の旅行会社ではゼロコミッションを見据えたビジネスモデルを検討しつつある。ゼロコミッションは世界的な流れであるが、KEの韓国国内で対応のように、旅行会社が十分な準備ができる猶予期間をとって廃止を通知する手法をとることは、軟着陸をはかる方策のひとつで、航空会社の力が強い韓国で採用されたとすると、日本でも同様の配慮は求められるだろう。


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