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ビザまめ知識(10) 修復手続きのプロセス−移民法規定違反(2)

  • 2008年4月17日
 移民法規定違反およびペナルティの内容にもよるが、修復の期間は短くて1年、長いと5年以上かかる場合があり、かなりのエネルギー、忍耐、時間、費用がかかってしまう。この様な結果になるのであれば、少しの時間がかかっても、少々の費用が掛かっても事前に対応しておけばよかったと、ビザトラブルを受けた全員が反省するようだ。修復手続きには下記のプロセスを踏まなければならない。

1.移民局から個人調書を取得する
2.犯罪記録あるいは裁判記録を取得する
3.無実の罪の場合は移民局とネゴシエーションあるいは裁判を行う
4.有罪の場合は移民局に免責の手続きを行う
5.免責の認可を得た後にビザ申請手続きが可能となる


1.移民局から個人調書を取得する

 入国拒否を受けた場合、移民局の判断などを確認するため、個人調書取得の必要がでてくる場合がある。そのための手続きには、早くて3ヶ月、長ければ1年以上かかってしまう。

2.犯罪記録あるいは裁判記録を取得する

 犯罪をおこした場所が日本ではなく米国内であり、しかも、かなり以前のものであれば裁判記録の取得は困難を極め、多くの時間がかかってしまう可能性が高い。

3.無実の罪の場合は移民局とネゴシエーションをおこなう

 移民局とのネゴシエーションは状況によっては不可能でないが、非常に時間と労力のかかる作業になる。入国拒否の調書にもとづきながら無実であるという証拠書類の収集が必須となり、入国拒否にあった者全員が必ずしもネゴシエーションできるものではない。

4.有罪の場合は移民局に免責の手続きをおこなう


5.免責の認可を得たあとに、ビザ申請の手続きが可能となる

 4と5はビザ申請時にほぼ同時におこなうが、免責が許可されない限り、ビザの発給はできない。




執筆:チャールズ・W・プレイ弁護士
(アルビスジャパン主任弁護士)

経歴:
前カナダ外交官
カナダ弁護士会会長(1997〜1998年)
CIPC議長

前カナダ外交官。現在は移民法専門事務所のアルビスジャパ
ン主任弁護士として、多くの日本人のビザや永住権などの取
得サポート。米国移民弁護士協会(AILA)、やカナダ弁護士
協会(CBA)や国際弁護士協会に所属し、専門家、企業や法人
に対し米国、カナダ両国の移民に関する法的サービスを行う
国際移民弁護士。 現在、移民問題に関する記事を執筆し、移
民政策に関してカナダの上級政府官僚に定期的にアドバイスしている。



▽ビザまめ知識 シリーズ
ビザまめ知識(1)−9.11テロ事件以降、米国ビザに生じた変化(2007/11/22)
ビザまめ知識(2)−米国ビザ発給数の推移(2007/12/06)
ビザまめ知識(3)−ビザ申請却下の事例と注意(その1)(2007/12/20)
ビザまめ知識(4)−ビザ申請却下の事例と注意(その2)(2008/01/17)
ビザまめ知識(5)−ビザ申請却下を回避するには(2008/01/31)
ビザまめ知識(6)−ビザトラブルとは何か(2008/02/14)
ビザまめ知識(7)−ビザトラブルを受ける要因(その1)(2008/02/28)
ビザまめ知識(8)−ビザトラブルを受ける要因(その2)(2008/03/13)
ビザまめ知識(9)−代表的な移民法規定違反(ビザトラブル)とペナルティ(2008/04/03)