JTB、欧で日本以外のランド、域内需要に対応へ−グループの活力を引き出す

JTBヨーロッパでも中国と同様の展開に踏み切るのは、「30万人の送客では、仕入れ面でのグローバルの競争に勝てない」(佐々木社長)との認識があるため。これはJTBが分社化した日本国内の地域会社についても同様で、市場に正対する形を作り、そこに特化して再投資をしていくことがJTBグループとしての利益につながるという。JTBヨーロッパやJTBチャイナなどが域内で利益を再投資する考えは、旅行、あるいは人の動きの急速な変化も意識したもの。マレーシアとシンガポールを例に、「ここは往来、交流が完全に融合しており、外から来る人にも同様に感じるもの」としたほか、日本、韓国、中国の3国間についても「北方アジアとして融合しないといけない」と提言。このうち、ゴルフについては韓国から日本へ「地方空港から入国し、クラブハウスに滞在しながら、5万円から6万円で(韓国人が)十分に楽しんでいる」動きを指摘しながら、ロッテと共同で設立した会社も人の動きの変化への対応や仕入れ力の維持といった背景があるという。
▽未来の旅行業の姿とJTBの成長戦略
今後の旅行業の姿については、「国際航空券の販売手数料率がゼロになるといったアメリカの取引実態が日本にも来るなど、(外的な変化が)強烈に押し寄せたとき」、旅行需要に業務渡航と観光需要の大きく2つの性質があるなか、レジャーは「(チャーター便の運航など)商品リスクをとって提供していかなければならない」と、旅行会社の役割は必ずあることを明言。インターネットについても、「アメリカではネットサーフィンをするほど暇ではなく、自分に適したものを選んでくれるものにお金を払う風潮がある」として、ネットへの対応でも、現在の旅行会社に一定の役割があると強調した。
こうした中、JTBグループの成長戦略を描いていく際、システムを例に挙げながら、現在のシステムを次期のシステムに置き換えるとき、これまでは過去、現在を踏まえて検討していたが、現在では将来の顧客ニーズ、技術がどのように変わるかを考え、「将来から現在をみている」と考え方の変化、JTBグループ各社が独立採算で横並びの賃金体系からの脱却などが成長の鍵との認識を示した。
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