本保総観審、イン800万人超の見込み−アウトに「ウルトラC」はない

  • 2007年11月7日
 国土交通省大臣官房総合観光政策審議官の本保芳明氏は今年のインバウンド800万人の目標について、達成が十分に可能であるとし、2010年の1000万人達成に向け、市場別の対応が必要との見方を示した。現在、訪日外客数は1月から9月の累計は前年比13.7%増の619万9800人。10月以降が昨年と同程度の人数で推移しても、これまでの貯金から800万人の達成は可能だ。

 ただし、韓国が今年は24.9%増と好調で、中国は17.1%増と前年から10万人の増加を記録しているが、台湾は4.9%増と伸び悩み、アメリカについては0.5%減とあまり良くないなど、市場毎に好不調があらわれている。こうした動向を踏まえながら、国として韓国はアウトバウンドとインバウンドの均衡ある旅行者数の増加、中国ではビザ緩和の問題、アメリカはJNTOの事務所展開なども含めながら、個別に対応することで、各市場の積み重ねにより、1000万人の目標を実現したい考え。

 特に、アメリカについてはJNTOの事務所がロサンゼルス、ニューヨークの2ヶ所だが、「代理店を置くなど、市場の特性にあわせて弾力的な仕事の方法を考える」としており、これまでよりも自由な活動ができる方策も視野に入れている。ただし、これについては独立法人という枠組みがあることから、中長期的な検討事項となるようだ。


▽アウトバウンドもインバウンドと一体的な施策を

 本保総観審はアウトバウンドについても、「日本旅行業協会(JATA)の海外旅行委員会を中心に議論をしてもらっている」とした上で、海外旅行の主要構成員となる旅行会社、航空会社と意見交換を図っていることも言及。ただし、韓国からのインバウンドがはじめて逆転する環境下にあり、日米についてはイン、アウトともに低迷するなど、インバウンドを推進する上で、国と国の関係からアウトを後押しする必要がある。特に、二国間の観光会議の席上では、インバウンドとアウトバウンドが「送客するから、日本人を送って欲しい」と一体的に要望されることもあり、本保総観審は「業界全体と協力すること、国のやるべきことを整理して取り組みたい」との考えを示した。

 こうした前向きな姿勢を示しながらも、「ウルトラCの策はない。旅行業界、航空業界とも、今までと違う取り組み、心構えでないと出来ない時代にある。国も同じこと」として、これまでの慣例にとらわれず、かつ着実な取り組みが必要であることを強調した。


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