観光庁実現を前にJNTOとVJC、国の役割明確に−本保総観審

  • 2007年10月4日
 国土交通省大臣官房総合観光政策審議官の本保芳明氏が業界紙との定例会見で、国際観光振興機構(JNTO)とビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)実施本部の統合を「準備が出来次第」とし、早急に統合する方向性を示した。また、「年度明けまで待つ必要はない」とも語り、受け皿となるJNTOの整備により、実施する意向だ。

 本保総観審は「観光庁実現で、国、JNTO、VJCの関係を明確にする必要がある」と統合の背景を説明。ただし、VJC実施本部は日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)をはじめ、民間の両力を得ており、JNTOが官民共同の体制の維持、組織としての受け入れ、指揮系統を明確化した上で実施する。統合は、現在のVJCスタッフ全員がJNTOに移行するものではないが、「VJC予算執行は国の役割」を改めて明確にし、インバウンド推進を継続する。

 また、JNTO理事長の間宮忠敏氏が現在の独立行政法人の枠組みに考慮すべき点があることを指摘(関連記事参照)、本保総観審も「独立行政法人の縮小均衡的な経営手法はあくまで行政改革の見地での仕組み」とし、「質量を増やす(JNTOの今後の)役割と矛盾する」と検討材料を提示。今後はJNTOと「独立行政法人」以外の枠組みも視野に検討するという。

 「JNTOが現在の(独法という)仕組み、あるいは異なる仕組みでも、効率、効果的に展開される事業であれば良い」とし、条件として「特定企業に偏らず、旅行関係ない場合のノウハウ、体制、組織、人脈などを持つ必要がある」と、「無数の選択肢があるわけではない」とも語った。

▽観光庁設立に向け引き続き難局面も

 観光庁の実現に向けては、先ごろ内閣総理大臣に福田康夫氏が就任、所信表明演説で小泉、安倍内閣から継続して観光立国の推進に言及。与党の体制も人、路線と維持することが明確となり、本保総観審は「行政の立場として心強い」と言及。また関係省庁との話し合いも進んでおり、「それなりの感触がある」としたが、先ごろ述べているとおり、「(実現まで)難しい局面もある」ことは変わらないとの考えを示した。

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