大韓航空、LCC設立を明言−機材はB737型機で短中距離国際線に就航

また、このLCCの設立には韓国国内の交通事情も背景にあるという。この2年から3年以内にソウル/釜山間の京釜高速鉄道の運行が開始された場合、国内の交通需要が航空から鉄道へシフトすると予想しており、需要の減少から余剰機材が発生するという見込み。必然的に事業の再構築も迫られるという考えで、KEはこれに先手を打った形だ。
現段階はLCCで日本の地方都市へ就航する言及はないものの、低コストの運航という側面からすると、日本への就航も十分に考えられる。日本への就航については、先ごろのアジア・ゲートウェイ構想など、各種の航空政策において明示しており、地方空港への自由化が謳われており、就航のハードルはこれまでと比べて低いだろう。ただし、KEの就航地をLCCへと切り替えるのか、または切り替えるだけでなく、新たな就航地を増やすのかなど、ビジット・ジャパン・キャンペーンでのインバウンド施策も絡み、興味深いところ。
ただし、課題はどこまでLCCの体裁を整えるかというところ。今回の発表では新たにLCCを専門とする会社を設立する形態ではなく、既存の会社を活用するものの、従業員をはじめとする人件費は欧米系の30%に比べ、15%程度としており大きな問題とはならず、またKEのグループ会社であることから整備面でのメリットを享受できる安心感と共にサービス体制でコストをどの程度、軽減するかなど、本格的なLCCを目指す上でのポイントは多い。また、韓国でも旅行会社は多く、日本各地にも就航することから、航空券の流通経路をどのように確保し、かつ、どの程度のコストを見込んでいるかも旅行業界としては関心の高いところだ。全日空(NH)も先ごろ、改めてLCC設立の構想を明らかにしているが、東アジア地域にいよいよ本格的なLCCの時代が到来することとなってきた。