ドイツ観光局、「アート&カルチャー」軸に、新イメージと魅力をアピール

その後の業界向けのセミナーでは、同観光局の西山晃氏がアート&カルチャーをテーマにした具体的なルートを提示。例えば、日常インテリアの博物館「ピナコテーク・デア・モデルネ」のあるミュンヘンとバイエルン州、デザインと建築の街として知られるベルリンと東部ドイツを組み合わせ、ミュンヘンからカッセル、デッサウ、ベルリンに抜けるルートなど計3ルートを紹介した。さらに、鉄道や高速道路など充実した交通網を強みに、顧客のニーズに合わせたアート&カルチャーの旅も手配しやすいことも強調した。
なお、同日開催のワークショップには、ドイツから約30のホテル、鉄道、航空会社が来日、日本からは80名ほどの業界関係者が参加した。
▽W杯効果が持続、外国人訪問者が好調に推移
ブルーメンシュテンゲル局長は記者会見の席で、サッカーワールドカップが開催された昨年は、日本人旅行者が前年比6%増、外国人旅行者は対前年比10%増となり、順調な推移を強調。今年も外国人旅行者数は10%増、特に南米からは40%増とW杯効果が続くという。
ただし、今年の日本人訪問者数は減少傾向にある。これについて同観光局マーケティング局長の坂田史男氏は、全世界的に旅行需要が伸張するなか、日本人の出国者数自体が減少傾向であることを触れ、日本向けの客室等のブロックが難しくなることに懸念を表明。また、西山氏も「日本から欧州はクロアチアなど新たなデスティネーションの伸び率が高いが、その後はどうするか。高収益の望めるロング方面の需要を確保するためにも、旅行者のニーズに合う新しいテーマを見つける必要があるのでは」と語る。
ただ、坂田氏はドイツに関して「若者層は旅行意欲が低いと言われるが、実は都内のクラブではドイツ人のDJを招き、ライブを開催すると2000人から3000人の人が集まる」と、新客層の潜在性を示唆。日本での現代アートやデザインへの関心の高まりも後押しし、需要獲得の弾みになると期待を寄せている。