ビジネストラベラー:現地の休日の参加できるツアーが欲しい


今回はコーセーの国際部でアジア各国を中心に仕事をされている顧雪梅さんに登場いただいた。仕事で出張した際にも現地のスタッフと密なコミュニケーションをとることに加え、休日を利用して国そのものへの理解を深めようとする姿勢に学ぶ点は多い。(聞き手:山見インテグレーター代表、山見博康氏)
◆アジアを中心に各国を巡る
Q:日本に来られたいきさつを教えてください。
顧雪梅さん(以下、顧): 北京大学の東方学部日本語学科で5年間、日本語を勉強しました。中国は日本ブームで、クラスの半分以上が日本行きを希望しており、私も将来は日本で働きたいと考えていました。北京大学卒業後の2年間は様々な仕事で資金を貯め、95年に来日を果たしました。
Q:日本での生活をされるなかで、何か思うことはありますか?
顧: 日本に住んでいると、日本の伝統的な習慣やしきたりの源流の多くが中国にあり、両国が古代から親交を深めていたことがよくわかります。七夕や端午の節句などもそのよい例です。また中国で失われつつある風習などが日本で立派に根付いていることも多くあります。これからも両国の良い所を捜していきたいと思っています。
実は一昨年、日本に帰化しました。日本は大好きな国なので、ここを拠点にして母国をはじめ、多くの国との関わる仕事をこれからも続けていきたいです。
Q:これまでお仕事で訪問された国はどちらですか?
顧: シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア・台湾・香港・中国・米国など、10数ヶ国を訪問しました。

顧: 私がやっているIBE(インターナショナル ビューティ エキスパート)という仕事は、海外拠点の営業力強化を目的に、美容スタッフの指導やセールスプロモーションを行うものです。3-5月には春・夏用、8-10月には秋・冬用として販促イベントを開催、それに、クリスマスやお正月、さらには中国でも旧正月に大型プロモーションを行いますので、息つく暇もない忙しさです。でも現場では実演指導をすることも多く、とてもやりがいがあります。
現在弊社はアジアと米国に拠点を持っていますが、私は主にアジアにある10拠点を中心に活動しています。今年は2月に台湾、4月にタイ、6月にマレーシア、7月にインドネシアに出張しました。いろんな国に行くのは見聞が広まり、さらに多くの人と出会えるので本当に楽しいですよ。ただ、時差もあり、遅くまで働くので、なかなか寝付けず大変。やはり、よく眠れるのは日本ですね(笑)。
Q:お仕事での心に残るエピソードを教えてください。
顧: 昨年11月、東マレーシアのタワウという小さな町にある弊社直営のビューティーセンターを訪れた時のことです。名刺を差し出すと、現地の美容スタッフが1冊のノートを見せてくれたのですが、それを見てびっくり。これまでそこを訪れた先輩達の名刺が10年前の開店時から丁寧に並んでいたのです。並んだ名刺を見ながら、当時の楽しいエピソードで会話が弾みました。
そのノートは、ビューティーセンターの皆が自発的に整理して大切にしてきたそうです。弊社はそのビューティーセンターに力をずっと入れてきたのですが、美容スタッフ4人の小さなお店ながら順調に成長しています。私はその成長の秘訣が判ったような気がしました。美容スタッフ全員の心の優しさや美しさが、顧客にしっかりと伝わっているからなのでしょう。本当に感動しました。
◆休日にゆっくり参加できる日帰りツアーが希望
Q:いつも使う旅行会社はありますか?
顧: 弊社には指定旅行会社はありませんが、私の部署ではMOツーリストの利用が多いようです。仕事柄、同じ場所に滞在する場合が多いので、旅行中の急なフライト変更などは殆ど発生しません。ですから旅行会社には、指定した座席を正確に取ってほしいと思っています。
Q:旅行準備で気をつけていることはありますか?

Q:旅行会社に望むことはありますか?
顧: 出張中の休日に、日帰りで近郊ツアーに行きたくなることが多いのですが、気軽に一人旅ができるツアーがなかなか見つからないので困ります。いいなと思うと「2名から催行」だったり、魅力的と思うツアーでも「朝7時出発」だったり…。休日の朝は多少ゆっくりしたいので、もう少し遅い時間に出発するものがあればよいな、と思います。
Q:今まで行かれた中で印象的な町はどこですか?
顧: タイとマレーシアが好きですね。タイのバンコクでは、不思議と落ち着きます。素朴な人が多く、知らない人への接し方が温かい。私は特に彼らの笑顔が素敵だと思います。これは日本にも通ずる気がしています。
またマレーシアは、マレー人、中国人、インド人が違った言語を話しながらも、うまく溶け合って生活していることに感銘を受けます。マレーが共通語としてありますが、多くの人は自国の言語を話し、お互いに通じないことも多いのです。それなのに、この国では人々がとてもうまく共存共栄しているのです。マレーシアの人々は英語をはじめ、最低3カ国語に通じていますので、コミュニケーション能力がとても高い。それが独特の国の雰囲気を醸し出しているのかもしれませんね。
◆海外で快適に滞在するポイント
Q:海外に慣れてらっしゃいますが、知っておくと便利な情報を教えてください。
顧: 両替には気を使っています。出発前に訪問国のレートを調べるのはもちろん、直前にその国を訪問した人に現地情報を聞き、少しでも有利な場所で両替するようにしています。例えば香港では、銀行のほうが手数料を取られても市内の両替商で換えるより有利だし、インドネシア・マレーシア・シンガポールでは銀行より町中の両替商の方が良いのです。中国は町に両替商がなく、銀行・ホテルともレートは同じです。
Q:海外滞在中での危機管理について教えてください。
顧: これまで幸いにも盗難に遭ったことはありません。それは、いつも細心の注意を払っているからだと思います。例えば、少しでも危険そうな場所には近づかないようにしています。一人歩きをしないことは当然で、必ず現地スタッフに同行してもらっています。外出時はコピーしたパスポートと保険証、必要最低限な現地通貨だけを持参します。財布は、スリが見つけにくいように、鞄の中にあまり整然と入れない方が良いかもしれませんね。
あえて挙げるならアジアで危ないのは、「水」です。ですので、絶対に生ものを口にしないようにしています。フルーツも出来るだけ、食べません。アイスも絶対禁物。飲み物は火を通し温かくして飲みます。
2年前、ジャカルタに滞在して1週間経った頃、お腹を壊し、さらに脱水症状になって大変でした。現地の病院に行くと、点滴と入院を勧められましたが、翌日が仕事だったので休むわけにもいかず、薬をもらって治そうとしました。今考えると、それが悪かったのです。現地の薬は強すぎて、喉の奥が炎症で焼けたようになり、さらに口内炎も出来て、食べ物を飲み込むのが痛くて…。
Q:個人での海外旅行なら、今後はどこに行きたいですか?
顧: 仕事がアジア中心なので、今はヨーロッパに行きたいですね。なかでも美の本場であるフランスやイタリアには特に興味があります。美しい町並みを散策したり、世界的な名作が集結する美術館でゆったりとした時を過ごしたいですね。
顧 雪梅(Gu Xuemei、梅谷 ゆき)氏
株式会社コーセー 国際本部 国際部 国際営業グループ
インターナショナル ビューティ エキスパート
北京大学東方学部日本語学科卒業
1995 年 来日
1999 年 コーセー入社。国際部営業統括グループに配属。
2002 年 国際部企画営業統括グループIBEチームに編入、現在に至る。