ビジネストラベラー:BRICs、アフリカ方面への海外出張需要は今後も拡大

  • 2007年6月7日


今回はキッコーマンの傳田進一氏へのインタビュー。傳田氏の世界25ヶ国以上へ出向いている旅慣れた経験から、こだわりある安全対策、体調管理に加え、海外出張の動向も伺った。また、旅行会社へ望む詳細なサービスの具体例も頂戴している。
(聞き手:山見インテグレーター代表、山見博康氏)


Q:これまでの海外での勤務、海外関連の業務を教えて下さい。

傳田進一さん(以下、傳田):サンフランシスコ州立大学に個人留学、MBAを取得した後、92年入社し、貿易部に配属されました。この時、海外へ初出張でシドニーへ行きました。オーストラリアのアクセントにはてこずりました。ようやく慣れてきたのは1週間くらい経ってからでした。95年、キッコーマンインターナショナルシカゴ支店セールスマネジャーを経験しました。シカゴでは、ウイスコンシン州・ウォルワースにある工場のしょうゆやてりやきソース等の製品を全米に販売しました。

01年からは東京本社の海外営業部です。現在の部署では、国内外の工場で製造されたものを海外に販売しています。その中で私は、中国、シンガポールなどアジア・オセアニアを除く全世界が担当です。つまり、北米、中南米、中近東、アフリカそれに欧州全域です。

Q:入社以来、これまでの海外出張訪問した国、目的を教えてください。

傳田:北米、カナダ、メキシコ、ブラジル、チリ、ベネズエラ、アルゼンチンなど南北アメリカ、中近東ではドバイ。そのほかロシア、南アフリカ、イギリス、フランス、ドイツなど欧州諸国、それにサモア、ニューカレドニア、フィジー、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、タヒチ、アジアでは韓国、インドなどで25ヶ国以上はあるでしょう。最近は、だいたい月に1回ペースです。6月は北米、7月は中米です。出張の目的は、100%海外営業です。

Q:社員の海外出張は増えていますか?

傳田:全体的には分かりませんが、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は間違いなく増えていきます。また、アフリカへの出張も増加すると思います。


イタリア製ワイシャツですり防ぐ!

Q:多くの国へ出張に行かれていますが、家族旅行をするとしたらどこに行きますか?

傳田:3歳、7歳の子供をタヒチにつれていきたいと思っています。出張でモーレアに行ったとき、そのあまりの美しさに一目ぼれしました。ぜひ、家族にもこの感動を味わって欲しいとおもいました。

Q:海外出張先で、苦いご経験をされたことはありますか?

傳田:2001年、メキシコでの出来事です。午後2時頃、お客様とランチをご一緒しました。その際、勧められるままにテキーラを3ショットストレートで飲んだのはいいのですが、部屋に戻ったところ急に酔いがまわり、そのままわからなくなってしまいました。目が覚めたときはもう夜中。運よく初日でアポイントがなかったので助かりました。メキシコは海抜2000メートルの高地に位置するため、よけいに酔いが回ってしまったのです。

Q:旅慣れていらっしゃいますが、出張にかかせないものはありますか?

傳田:私が特に愛用しているワイシャツがあります。それは、大き目の胸ポケットがついたワイシャツです。パスポートはここに入れるのです。背広の内ポケットより、肌に密着しているので敏感になり、すられる確率が減るのです。このようなワイシャツは日本製にはなく、イタリア製などです。

Q:旅行準備で気をつけていることはありますか?

傳田:背広は1週間で1着、つまり2週間では2着もっていきます。ネクタイは1週間では2、3本ですが、2週間となると7本くらいもっていきます。

背広のほかに必ずブレザー1着、ズボンは1週間で2本、2週間で4本です。ポロシャツも2、3枚、下着は日数分がベースですが、2週間で10日分をもっていき、靴はビジネス用に1足とスニーカーを1足もっていきます。靴以外はメッシュのケースに一まとめにして入れます。小物は、洗面道具の他、リップクリーム、使い捨てコンタクトレンズ日数分、爪切り、サングラスそれに文庫本など。それをジップロック付の袋にまとめていれます。


機材などを知らせてくれると用意もスムーズに

Q:安全対策をされていますか?

傳田:スーツケースのミッシング対策として、ハンドキャリーバッグに、ズボンやワイシャツ、ネクタイなど一式一日分を入れておきます。これは私のリスク管理の一つです。幸運にもまだミッシングバッグはありませんが。

また、ホテルのセーフティボックスは使いません。外出するとき、貴重品は全部自分で持っていきます。現金は細かくして200ドルくらいもっていきますが、通常の支払いはカードです。

Q:機内で気をつけていることはありますか?

傳田:機内で注意していることは、食べ過ぎないことです。そこで一食は必ず抜くように心がけています。機内では映画や音楽で楽しむ以外は、耳栓をして休んでいます。

Q:時差ぼけ対策として、何か取り組んでいらっしゃいますか?

傳田:時差には強い方だと思いますが、到着後、陽の当たる市内を歩くことがもっともよい回復法です

Q:海外出張の手配はどのようにされていますか?

傳田:関係会社に旅行会社がないので、ケースバイケースです。私は場合によっては、ホテルなど自分で予約することもあります。

このホテル選びのポイントは、何と言ってもブロードバンド対応です。そうでないと仕事になりませんから。

Q:旅行会社にどんなサービスを望みますか?

傳田:日程をアレンジするときに、機体の種類まで記載してあると助かります。例えば、荷物を機内に持ち込む際、大きなものまで持ち込めるかどうか、また、機体が小さい場合は早めにチェックインしないと手荷物を収めにくくなるため早めの搭乗をした方が良いかなど、早めの判断ができるからです。そんなことが旅行会社のきめ細かいサービスの差になっていくのではないでしょうか。

また、緊急連絡先が、担当した方と違う場合がありますが、これは同じ方にしてほしいですね。

また、メールチェックをしますので、空港でもホテルでもパソコンは日本語対応にして欲しいですね。つながっても使えないことになります。

Q:企業として旅行会社に求めるサービスにおいて最も高いプライオリティは何ですか?

傳田:やはり手配の確実さです。次にかゆいところまで手が届くサービスで利便性を高めること。それから低コストでしょう。

どうもありがとうございました。

傳田 進一(でんだ しんいち)氏
キッコーマン株式会社 海外事業部営業グループ長・主幹

1992年 入社、貿易部
1995年 キッコーマンインターナショナル、シカゴ支店、セールスマネジャー
2001年 東京本社、海外営業部
 
<会社概要>
設立:1917年/従業員:6350名(連結)/売上高:1268億1300万円 /
連結売上高:3446億2500万円)/海外関連会社:23社/国内拠点:25ヶ所