コミッション・カットはあくまでシグナルの一つ、業界は転換を、元JLの戸崎氏

  • 2006年12月1日
 都内の会場で開催されたセミナーで明治大学商学部教授の戸崎肇氏は航空会社のコミッション・カットについて、「あくまで一つのシグナル」と語り、付加価値産業への変換、人材育成が重要な課題になるとの考えを示した。

 戸崎氏は1986年に日本航空に入社し、営業畑を歩んだ経歴を持つ。営業経験も踏まえ、代理店営業の裁量権が大きくあったものの、現在は管理が厳しいという流れにあると語る。また、特にアメリカでの動きとして、オンライン・エージェントが登場した2000年ごろのコミッション・カットについても言及し、「この動きが日本でも起こっている」と説明し、日本でもゼロ・コミッションとなる考えを示した。

 さらに、日本の航空会社の状況として羽田空港の発着枠の拡大、成田空港の滑走路延長による発着枠の増加、関西空港の2本目の滑走路などで、「投資をするべき負担が大きい」と状況を分析。こうした背景もあり、「グループとして日本航空、全日空とも管理、透明性が高まり、これに反するにぎりの部分も減少する」と断言した。

 ただし、旅行会社の勝機としては、オンライン・エージェントが提供する商品の値段が毎日変化することで、「忙しい人が買うタイミングがわからない」という消費者の声もあると指摘。これに対し、企業の旅行需要であれば、忙しい人の代理として旅行プランを組み立て、そこで収益を得る「手間隙をかけること」と方向性を示唆。ただし、その際には「よく言われるが、付加価値を高め、人材育成が鍵」と語り、今後、航空会社の考えが変わる方向性に無いことを視野に、業界の方向性を転換することを促した。