米パウワウ開幕、商務省長官は「アメリカ=『移民の国』」のイメージ復活に向けた努力を示唆

また、アメリカ商務省が4月末に公表した統計によると、1月の入国者数は11%増と増加基調にあり、2005年についても2001年以来最高の訪問者数となる2004年比7%増の4940万1528人を記録。2001年は前年比8%減となり、それ以降が7%減、5%減と減少傾向が2004年には12%増、さらに2005年で上向き基調がいっそう、確実な傾向になりつつある。日本からの訪問者も2001年から減少基調であったが、2004年には18%増を記録し、2005年も3.6%増の388万3906人と増加基調に転じているところだ。

また、TIAナショナルチェアでウオルト・ディズニー・パーク・アンド・リゾート会長のジェイ・ラズロ氏はアメリカ国内経済の好況を背景とする旅行需要の伸びに限らず、全世界的に旅行需要が増大する統計が各種そろっており、「第2の旅行黄金時代」(golden age of travel:20世紀初頭にクルーズなどが盛んになった時期を指す場合が多い)が訪れることを示唆。

TIA、トラベル・ビジネス・ラウンドテーブル(TBR)、ワールド・トラベル・アンド・ツーリズム・カウンセル(WTTC)など、アメリカの旅行・ツーリズム関連団体が団結、政府に対して入国手続き、イメージ向上などに努めているところだ。

アメリカ商務省長官のカルロス・M・グティエレス氏は初日のスピーチの壇上に立ち、現在、アメリカ連邦政府として観光関連での重要施策として第1にテロとの戦いによる各種施策、第2に原油高騰への対処、第3に入国審査と3つの重要課題を指摘。

こうした点も踏まえ、今後は商務省としても旅行業界と密接に関わりながら、入国者、特に移民の受け入れをテロ以前のような姿に戻していく考えだ。これは移民により経済的に支えられるだけでなく、ヨーロッパや日本が抱える高齢化社会の到来による年金問題などでも大きなメリットがあるほか、社会の活性化につながることを指摘。長官自身も1960年代にキューバから移民してきた経緯も披露しながら、「アメリカは『移民の国』として約220年の歴史を築き、そのDNAを持っている」などと語り、改めて国のイメージづくりにも積極的に向上する方向も示唆した。