クルーズ・シンポジウムに外航各社のキーマンが登壇、活発な議論が展開

  • 2006年1月17日
 国土交通省などが主催する「ジャパン・クルーズ・シンポジウム in 横浜」が1月16日、開催された。シンポジウムでは、業界最大のクルーズ見本市&コンベンションを主催するシートレード社のクリストファー・ヘイマン社長のほか、外航客船会社の副社長や寄港地及び配船担当の役員などの主要幹部を招待。日本市場でのクルーズ活性化に向け、活発な議論が行なわれた。

 日本への寄港とインバウンド促進に関しては、各社とも日本の港湾のインフラ設備を高く評価。各社の主要顧客である北米人の趣向が、「できるだけ複数の国に行きたい」ことから、日本だけでなく近隣諸国の港と連携してプロモーションすることが有効だと訴えた。また、寄港後のショア・エクスカーションは、お客がクルーズ選択をする重要な要素であるため、ただの観光や文化体験だけでなく、もう一歩踏み込んだ経験ができる工夫をして欲しいとの要望もあった。一方で、日本に寄港実績のないロイヤルカリビアン/セレブリティ・クルーズ社のジョン・ターチェック上級副社長からは、「大阪も京都も同じように感じる。それぞれの差別化が必要。デスティネーションとしての日本のユニークさ、魅力をもっと打ち出す必要があるのでは」という問題提起もあった。

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 日本からのアウトバウンドについては、日本寄港の実績の多いプリンセスクルーズ/キュナードライン社の寄港地担当役員ブルース・クラムリン氏が「日本の市場は小さいが、健全。客船内で、様々な趣向の人にもあうように、いつでも好きな時に食事を出すなど、よりパーソナルなサービスを提供することで、日本市場でさらに成果をあげられる」との同社の考えを示した。しかし、日本でのクルーズの浸透度が低いという意見が多く、「もっと消費者にクルーズを知ってもらい、販売側もネットワークの拡大が必要。クルーズは売り込まなくては売れない商品」という意見もあった。
 また、90年代にロイヤルカリビアン/セレブリティ・クルーズ社がイギリスとのジョイントベンチャーとして、古い客船を利用したブラジルでのショートクルーズを実施した例や、格安航空会社イージー・ジェットのクルーズである「イージークルーズ」などの格安クルーズの成功例も紹介。日本でもバジェット・タイプのクルーズや、テーマクルーズなどのバラエティ豊かなクルーズを運航することで裾野を開拓でき、将来のクルーズ市場拡大につなげられるのでは、との議論は、会場からも多くの活発な意見が寄せられた。

 なお、1月17日には午前9時から午後12時まで、外航客船会社のキーマンが参加する商談会が、横浜グランインターコンチネンタル・ホテルで開催。その後、一行は大阪に移動し、大阪港の見学や関西圏の観光魅力を紹介する交流会などが開催される予定だという。今回来日した、外航客船会社の幹部は下記の通り。


▽シンポジウム及び商談会の参加者
シートレード社:クリストファー・ヘイマン社長
プリンセス・クルーズ/キュナードライン社 寄港地担当役員:ブルース・クラムリン氏
ホーランド・アメリカ・ライン社 配船計画担当役員:サイモン・ダウズ氏
ロイヤル・カリビアン/セレブリティ・クルーズ社:ジョン・ターチェック上級副社長
ラディソン・セブンシーズ・クルーズ社:マイケル・ポーラス副社長
レジデンシー社:エミリオ・フリーマン上級副社長
シルバーシー・クルーズ社:ジム・バーンサイド副社長

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