夏休み旅行動向見通し、海旅は中国・アジア方面回復遅れも全体で微増か

  • 2005年7月5日
 ジェイティービーはこのほど、夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向見通しをまとめた。これは1泊以上の旅行に出かける予定についての調査で、2200人へのアンケート、JTBの販売状況、航空会社予約状況などから推計した。これによると夏休み期間の総旅行者数は前年比1.3%増の7586万人で、このうち海外旅行は0.4%増の249万人、国内旅行は1.3%増の7337万人の見通し。経済全体から見る旅行消費の環境は、支出を増やしたいが16.7%で、景気が悪いの11.2%を5.5ポイントほど上回る。これは昨年の支出増が15.8%、景気悪が15.2%で0.6ポイント、2003年は支出増が14.9%に対し、景気悪が18.8%などと比較すると旅行に対する消費は大きく改善している状況があらわれた。
 また、海外旅行については昨年の248万人から微増する予測だが、2000年の264万人、2001年の266万人などと比較すると、力強さに欠けている。これは需要の減退要因が点在するため。例えば中国については推定人数で19.8%減、アジアのリゾート地は津波以降の回復が遅れ、アジア全体では2.6%減となっている。その一方で、ハワイ、グアムなどファミリー層を中心に予約状況は順調だ。海外旅行平均費用は1.6%増の21万2200円。旅行費用が安い中国、アジア方面への旅行者数の減少、単価の高い欧米の増加で昨年を上回る見込みだ。
 国内旅行は1.3%増の7337万人、旅行平均費用は0.9%増の3万5300円の見通し。旧盆の8月15日は月曜日となり、実質的に3連休となる曜日並びだが、分散化傾向は今年も進行する見込み。特に、9月には3連休が敬老の日、秋分の日を絡ませ、2回あるなどレイトサマーも定着する傾向がある。国内での人気旅行先は帰省以外に、愛・地球博が開催されている東海地方、大型免税店DFSギャラリアの開業などで盛り上がる沖縄、世界遺産登録を控える知床を中心とした北海道の人気が高いようだ。
 なお、JTBでの推計値は下記の通り。

▽2005年夏の海外旅行者推計(括弧内は前年比)
◆海外旅行者数推計/249万人(0.4%増)
◇アジア計/125万6000人(2.6%減)
中国/27万1000人(19.8%減)|台湾/13万4000人(22.9%増)|香港/9万8000人(4.3%増)|韓国/35万人(2.3%増)|タイ/10万6000人(15.9%減)|シンガポール/7万人(2.9%増)|インドネシア/8万7000人(8.7%増)|マレーシア/2万3000人(前年同)
◇北米州計/69万7000人(4.7%増)
ハワイ/22万2000人(4.2%増)|グアム・サイパン/18万2000人(4.0%増)|米国本土/22万8000人(5.6%増)|カナダ/5万6000人(3.7%増)
◇欧州計/35万4000人(4.7%増)
◇大洋州計/12万6000人(4.5%減)
オーストラリア/9万1000人(4.2%減)|ニュージーランド/2万1000人(4.5%減)|南太平洋/1万4000人(6.7%減)
◇その他(アフリカ・中南米等) 5万7000人(5.6%増)

▽2005年夏の旅行経済効果予測等(括弧内は前年比)
総旅行人数/7586万人(1.3%増)
国内旅行人数/7337万人(1.3%増)
海外旅行人数/249万人(0.4%増)
国内旅行平均費用/3万5300円(0.9%増)
海外旅行平均費用/21万2200円(1.6%増)
総旅行消費額/3兆1184億円(2.2%増)
国内旅行消費額/2兆5900億円(2.3%増)
海外旅行消費額/5284億円(2.0%増)
平均旅行日数/3.6日(0.1日増)