南イタリアには、魅力的な観光地が点在する。中でも長靴のかかとに位置するプーリア州は、イタリア人のみならず、欧米各国の旅行者にも人気の高いデスティネーションだ。

　プーリア州最大の観光の目玉といえば、美しい木と名付けられた町｢アルベロベッロ｣だ。とんがり屋根「トゥルッリ」が印象的な街並みに、おとぎの国に迷い込んだような、不思議な錯覚を覚える。トゥルッリの起源については諸説あるが、「建物を作ることを禁じられた農民達が、見回りの管理人が来たらすぐに取り壊すことのできる小屋を建てたのが始まり」とする説が有力。建物の建築にあたり、長年領主と農民の間で攻防が繰り広げられたが、ブルボン家のフェルナンド４世がこの建物を気に入ったことから、町の運命は一変した。以降トゥルッリは奨励され、その独特な街並みは1996年、世界遺産に登録された。旅を一層印象深いものにするなら、トゥルッリでの宿泊もおすすめだ。
　プーリアでは、美しい海もまた魅力的な観光素材だ。中でもかかとの先端に位置する｢レウカ｣は、知る人ぞ知る隠れ家リゾートだ。車以外でのアクセスが難しく、観光客はまばら。しかし、11月まで泳ぐことが出来るという温暖な気候から、イタリア人の保養地として人気が高く、海沿いにはアラブの大富豪たちが建てたバカンス用の豪邸が軒を連ねる。また波の浸食による奇岩や洞窟も有名で、中でもグロッタ・ズィンズルーサは、カプリ島の青の洞窟をもしのぐ美しさだと言われる。何日か滞在して、遊覧船で訪れてみてはいかがだろう。イオニア海とアドリア海の交差する透明度の高い海と、素朴な町並みは、きっと日本人の旅行客の心もひきつけて止まないだろう。
　プーリアの旅行では、宿泊施設にもこだわりたい。イタリア屈指の農業地帯で、アグリツーリズムが盛んだ。農園を改装した宿泊施設では、農業体験はもちろん、産地限定の味覚を堪能できる。中でも特産のオリーブオイルは、肥沃な土壌と南イタリアの力強い太陽の恩恵を受けて育った野菜や、美しい海岸線で採れた魚介類との相性も抜群だ。1キロメートルごとに名物料理が違うといわれる美食の宝庫プーリアの滞在を、満喫できる満足度の高い旅行をお客に提供できる。