週末特集:トラベルライター宮田麻未レポート、ナイアガラ再発見の旅
今週から、先週の編集後記での予告どおり、トラベルライターの宮田麻未さんが消費者の視点から「旅行」を考え、カナダ現地から今のカナダを語っていただきます。3回連続の連載ですので、他のデスティネーションのツアー造成や販売の一つのヒントとしても考えていただければ幸いです。 トラベルビジョン編集部
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ああ面白かった!ナイアガラ再発見の旅 PART1」
宮田麻未
過去十数年、旅行ガイド本の取材でナイアガラを訪れたのは15回以上になります。いつも新鮮な視線で仕事をしたいと公言していたので、「ナイアガラの滝を見飽きたと感じたら、ガイド本の仕事はやめよう」と、自分のなかで決めていました。でも、毎年の改訂作業に追われ、そんな偉そうな決意も忘れがち。ところが、2001年の同時多発テロで旅行ガイド本の出版はほぼ壊滅状態。いやでも自分の仕事を一から考え直さなければならなくなったのです。
それから2年たった先月、私は今までとは全く違う立場でナイアガラを訪れることになりました。それは、「自腹を切ってやって来る観光客」という、私にとっては忘れかけていた立場です。
一人の観光客としてナイアガラで過ごした3日間、「目から鱗が落ちる」というのはこの時にピッタリの言葉でした。そして結論は「ああ面白かった!ナイアガラは連泊して楽しまなければもったいない」だったのです。
▽証明書をもらって思わず大ニコニコ
取材の時は早朝から夜遅くまで写真撮影やデータの収集に追われ、じっくりと景色を味わう気分にはめったになれません。時間の無駄になりそうなことは極力避ける。そのために今まで一度も試したことがなかったのが、「ナイアガラの滝のライトアップ体験」でした。滝のライトアップの色を変えさせてくれるというけれど、ライトのスイッチを何度か入れたり切ったりすることがそれほど面白いとは思えなかったのです。
ライトの設備のある場所は、古い砦のような暗い場所。出迎えてくれた人は気難しそうなおじさん(後でお話して、とても優しい方だと判明しましたが・・・)。何だか古めかしい器械がぎっしりと並んでいます。ホラー映画に出てきそうなシーンで、ちょっと胸がドキドキしました。巨大な投光機の並ぶベランダに出ると、アメリカ滝、カナダ滝の両方が一望できます。赤いライト一色に照らされて昼間とは全く違う印象です。
「このつまみを回してね、一つ一つの投光機の色を変えていくんだ」と係員の方は簡単に言います。フンフン、回すだけね・・・と、私は少々馬鹿にした態度。ところがです、色を選んでつまみを回し始めると、心の奥の方から不思議な興奮が沸きあがってきたのです。アレッ?と、自分でも驚きました。
全てのつまみを回してベランダに出ると、目の前に、私が、この私が彩色した滝が浮かび上がっているではありませんか!水しぶきの上には星がキラキラを輝き、大きな気球が一つポッカリと浮かんでいます。なんて幻想的な光景なんでしょう!私は一瞬ぼうぜんとしてしまいました。そして次の瞬間には、自分が大きな声で「ワッハハハ!」と笑っているのに気がついて、またビックリ。久しぶりに子供のようにはしゃいでいたようです。
走るように調整板の前に戻った私は、うきうきした気分で再びつまみを回し、色を変えてはベランダに出て、またニコニコ。そして最後に、「あなたはナイアガラのライトアップをしました」という証明書を手渡されたときには、「サンキュー・ベリー・ベリー・マッチ!」と、後で考えるとかなり恥ずかしいくらい嬉しそうな声を出してしまいました。
このライトアップ体験はディナーと組み合わせてツアーのオプションとして売られている商品です。参加人数が多すぎると「自分で滝のライトアップをコントロールした」という実感がやや薄れるかもしれません。しかし、きっと誰もが子供に返って楽しめると思います。特に冬に滝が凍っているときなら、ライトアップもより幻想的になりますから、感動も深いはずです。
▽ヘリコプターでまた新鮮な感動
もう一つ、今までチャンスをのがしていたのがヘリコプターです。取材では何度かご招待を受けていたのですが、いつも「二人分のチケットをくださるなら、カメラマンを二回乗せてください」とお願いしていました。良い写真が撮れるほうが、私が乗るより大事だと思い込んでいたのです。しかし数年前にナイアガラを訪れた私の両親(70代)は、この遊覧飛行に大感激。ナイアガラの思い出といえば、その話しから始まるほどなので、今回は私も乗ってみることにしました。
ヘリが舞い上がった瞬間から、息をするのを一瞬忘れてしまいそうになるほど素晴らしい光景が広がりました。「今まで、カメラマンばかりにこんな素晴らしい体験をさせていたのか!」と、思わずケチくさい気分になってしまったところが我ながら情けなかったですが・・・。
上空から見ると、滝の雄大さがひときわ胸に迫ってきます。川と滝、そしてオンタリオ湖へと続く水の流れを一望にできるのも新鮮です。湖のかなたに、まるで蜃気楼のようにトロントの高層ビル群が浮かんでいました。
飛行時間はわずか9分ですが、写真を撮る余裕も十分にありますし、どの座席に座っても滝を十分に見られるように飛行ルートが工夫されているのが印象的です。パイロットはもちろん、地上の係員もきびきびしていて好感が持てました。
そうそう、ここでも「滝の上空を飛行しました」証明書をもらえます。「ピラミッドの中に入りました」とか「北極圏に陸路で入りました」証明書が並ぶ、私の「ムフフの壁」(別名、自己満足の壁)に、今、ナイアガラの2枚の証明書が輝いています。
▽ライトアップ体験はディナーと組み合わせたツアーの問い合わせは
ナイアガラ観光局 ミキ・モリカワ氏
Eメール : morikawa@niagarafallstourism.com (日本語可)
▽ナイアガラ・ヘリコプター社 http://www.niagarahelicopters.com
▽ナイアガラの滝の周辺の景色は
http://www.travel-vision-jp.com
「最新ニュース一覧」の記事タイトルをクリックするとご覧いただけます。
☆☆☆予告☆☆☆
▽来週のパート2はサイクリングでワイナリーめぐりのご紹介
このナイアガラ体験記は3週間にわたって連載させていただきます。来週は
サイクリングをしながらワイナリーめぐりをしたお話です。
なお、旅行業界の方々にもお役にたつような、カナダ旅行の話題を中心にし
たホームページを立ち上げております。こちらをご覧になっていただければ幸
いです。(宮田麻未)
▽宮田麻未さんのホームページはこちら
http://www.canadian-life.com
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「ああ面白かった!ナイアガラ再発見の旅 PART1」
宮田麻未
過去十数年、旅行ガイド本の取材でナイアガラを訪れたのは15回以上になります。いつも新鮮な視線で仕事をしたいと公言していたので、「ナイアガラの滝を見飽きたと感じたら、ガイド本の仕事はやめよう」と、自分のなかで決めていました。でも、毎年の改訂作業に追われ、そんな偉そうな決意も忘れがち。ところが、2001年の同時多発テロで旅行ガイド本の出版はほぼ壊滅状態。いやでも自分の仕事を一から考え直さなければならなくなったのです。
それから2年たった先月、私は今までとは全く違う立場でナイアガラを訪れることになりました。それは、「自腹を切ってやって来る観光客」という、私にとっては忘れかけていた立場です。
一人の観光客としてナイアガラで過ごした3日間、「目から鱗が落ちる」というのはこの時にピッタリの言葉でした。そして結論は「ああ面白かった!ナイアガラは連泊して楽しまなければもったいない」だったのです。
▽証明書をもらって思わず大ニコニコ
取材の時は早朝から夜遅くまで写真撮影やデータの収集に追われ、じっくりと景色を味わう気分にはめったになれません。時間の無駄になりそうなことは極力避ける。そのために今まで一度も試したことがなかったのが、「ナイアガラの滝のライトアップ体験」でした。滝のライトアップの色を変えさせてくれるというけれど、ライトのスイッチを何度か入れたり切ったりすることがそれほど面白いとは思えなかったのです。
ライトの設備のある場所は、古い砦のような暗い場所。出迎えてくれた人は気難しそうなおじさん(後でお話して、とても優しい方だと判明しましたが・・・)。何だか古めかしい器械がぎっしりと並んでいます。ホラー映画に出てきそうなシーンで、ちょっと胸がドキドキしました。巨大な投光機の並ぶベランダに出ると、アメリカ滝、カナダ滝の両方が一望できます。赤いライト一色に照らされて昼間とは全く違う印象です。
「このつまみを回してね、一つ一つの投光機の色を変えていくんだ」と係員の方は簡単に言います。フンフン、回すだけね・・・と、私は少々馬鹿にした態度。ところがです、色を選んでつまみを回し始めると、心の奥の方から不思議な興奮が沸きあがってきたのです。アレッ?と、自分でも驚きました。
全てのつまみを回してベランダに出ると、目の前に、私が、この私が彩色した滝が浮かび上がっているではありませんか!水しぶきの上には星がキラキラを輝き、大きな気球が一つポッカリと浮かんでいます。なんて幻想的な光景なんでしょう!私は一瞬ぼうぜんとしてしまいました。そして次の瞬間には、自分が大きな声で「ワッハハハ!」と笑っているのに気がついて、またビックリ。久しぶりに子供のようにはしゃいでいたようです。
走るように調整板の前に戻った私は、うきうきした気分で再びつまみを回し、色を変えてはベランダに出て、またニコニコ。そして最後に、「あなたはナイアガラのライトアップをしました」という証明書を手渡されたときには、「サンキュー・ベリー・ベリー・マッチ!」と、後で考えるとかなり恥ずかしいくらい嬉しそうな声を出してしまいました。
このライトアップ体験はディナーと組み合わせてツアーのオプションとして売られている商品です。参加人数が多すぎると「自分で滝のライトアップをコントロールした」という実感がやや薄れるかもしれません。しかし、きっと誰もが子供に返って楽しめると思います。特に冬に滝が凍っているときなら、ライトアップもより幻想的になりますから、感動も深いはずです。
▽ヘリコプターでまた新鮮な感動
もう一つ、今までチャンスをのがしていたのがヘリコプターです。取材では何度かご招待を受けていたのですが、いつも「二人分のチケットをくださるなら、カメラマンを二回乗せてください」とお願いしていました。良い写真が撮れるほうが、私が乗るより大事だと思い込んでいたのです。しかし数年前にナイアガラを訪れた私の両親(70代)は、この遊覧飛行に大感激。ナイアガラの思い出といえば、その話しから始まるほどなので、今回は私も乗ってみることにしました。
ヘリが舞い上がった瞬間から、息をするのを一瞬忘れてしまいそうになるほど素晴らしい光景が広がりました。「今まで、カメラマンばかりにこんな素晴らしい体験をさせていたのか!」と、思わずケチくさい気分になってしまったところが我ながら情けなかったですが・・・。
上空から見ると、滝の雄大さがひときわ胸に迫ってきます。川と滝、そしてオンタリオ湖へと続く水の流れを一望にできるのも新鮮です。湖のかなたに、まるで蜃気楼のようにトロントの高層ビル群が浮かんでいました。
飛行時間はわずか9分ですが、写真を撮る余裕も十分にありますし、どの座席に座っても滝を十分に見られるように飛行ルートが工夫されているのが印象的です。パイロットはもちろん、地上の係員もきびきびしていて好感が持てました。
そうそう、ここでも「滝の上空を飛行しました」証明書をもらえます。「ピラミッドの中に入りました」とか「北極圏に陸路で入りました」証明書が並ぶ、私の「ムフフの壁」(別名、自己満足の壁)に、今、ナイアガラの2枚の証明書が輝いています。
▽ライトアップ体験はディナーと組み合わせたツアーの問い合わせは
ナイアガラ観光局 ミキ・モリカワ氏
Eメール : morikawa@niagarafallstourism.com (日本語可)
▽ナイアガラ・ヘリコプター社 http://www.niagarahelicopters.com
▽ナイアガラの滝の周辺の景色は
http://www.travel-vision-jp.com
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☆☆☆予告☆☆☆
▽来週のパート2はサイクリングでワイナリーめぐりのご紹介
このナイアガラ体験記は3週間にわたって連載させていただきます。来週は
サイクリングをしながらワイナリーめぐりをしたお話です。
なお、旅行業界の方々にもお役にたつような、カナダ旅行の話題を中心にし
たホームページを立ち上げております。こちらをご覧になっていただければ幸
いです。(宮田麻未)
▽宮田麻未さんのホームページはこちら
http://www.canadian-life.com