ANA・アメックス、提携カードを17年ぶり全面刷新 日常接点を拡大、ANAのライフサービス「黒字見えてきた」
アメリカン・エキスプレス・インターナショナルと全日本空輸(ANA)は8月19日、両社の提携カードを全面リニューアルすると発表した。2009年の発行開始以来、全面的な刷新は初めて。全3券種のデザインを一新するとともに、ゴールド、プレミアムの2券種でマイル獲得や空港、ダイニング関連の特典を拡充する。新カードの申し込みは9月2日13時から受け付ける。
今回の刷新で鮮明になったのは、カードを航空利用時だけでなく、日常生活からANAと顧客をつなぐ接点として一段と活用する姿勢だ。会見でANA取締役執行役員CX推進室長の大前圭司氏は、ANAカードについて「単なるクレジットカードではない」とし、フライトという非日常だけでなく、買い物や食事など日常のあらゆる場面で、マイルを通じて顧客とANAを結ぶ「最も重要なタッチポイント」と位置づけた。日常のカード利用を次の旅行につなげる循環をつくり、顧客のライフタイムバリューを高めることがカード事業の重要な役割だとした。
17年ぶり全面刷新、ゴールドとプレミアムを強化
リニューアルの中心となるゴールドカードは、年会費4万2900円。年間カード利用額400万円以上で1万5000マイルを付与する利用ボーナスマイルを新設する。羽田空港第2ターミナル国際線の「POWER LOUNGE PREMIUM」を回数制限なく同伴者1人まで無料で利用できるほか、レストラン予約サービス「ポケットコンシェルジュ」の利用額を20%、年間最大2万円まで還元するダイニングキャッシュバックも追加する。
一方、年会費18万7000円のプレミアムカードでは、年間利用額600万円以上で3万マイルを付与。POWER LOUNGE PREMIUMの利用や、年間最大4万円までのダイニングキャッシュバックを新たに設定した。
ANAアメックス刷新のポイント比較
| 項目 | ゴールド・カード | プレミアム・カード |
|---|---|---|
| 年会費 | 42,900円(税込) | 187,000円(税込) |
| 利用ボーナスマイル | 年間400万円以上利用で15,000マイル | 年間600万円以上利用で30,000マイル |
| 継続ボーナスマイル | 2,000マイル | 10,000マイル |
| 搭乗ボーナスマイル | +25% | +50% |
| ANAでの航空券購入 | 100円=合計3マイル相当 | 100円=合計4.5マイル相当 |
| POWER LOUNGE PREMIUM | 回数制限なし 同伴者1名まで無料 | 回数制限なし 同伴者1名まで無料 |
| プライオリティ・パス | 年間2回まで | 回数制限なし |
| ダイニングキャッシュバック | 20% 年間最大2万円 | 20% 年間最大4万円 |
| ANA国内線ラウンジ | ― | 利用可 |
| 商品の位置づけ | ANAマイルの獲得をより追求 | 最高峰の旅の体験を実現 |
詳細条件は各社公表資料による。編集部作成。
アメリカン・エキスプレスのカード事業部門コンシューマープロダクト&パートナーシップ副社長の山本尚氏は、ゴールドを「ANAマイルの獲得をより追求した」カード、プレミアムをANAを頻繁に利用する顧客が「最高峰の旅の体験」を得るためのカードとして説明した。従来からの特典も継続し、ANAの航空券購入ではゴールドが100円につき合計3マイル相当、プレミアムが同4.5マイル相当を獲得できる。プレミアムではANA国内線ラウンジや利用回数無制限のプライオリティ・パスなども引き続き提供する。
年間利用特典の条件は、従来のゴールド300万円、プレミアム500万円から、それぞれ400万円、600万円に引き上げた。山本氏は、カードを利用できる場面の拡大などを背景に「カードの平均利用金額は年々上がってきている」と説明。これまでの利用傾向から、新たな基準でも多くの会員が達成可能とみているという。発行枚数や稼働額、今回の刷新に伴う新規獲得目標は非公表としたが、ANAアメックスの会員にはANA航空券の購入者が多く、ビジネスクラスやプレミアムクラス、海外旅行の利用が多いことも特徴として挙げた。
背景には旅行需要の高まりもある。アメリカン・エキスプレスが実施した旅行意識調査では、2026年に3回以上旅行を予定する日本の回答者は64%となり、前年の39%から大幅に増加。6回以上を予定する人も22%と、前年の11%から倍増した。同社の水村直美上席副社長は、実際のカード利用データでも旅行関連支出が年々増加していると説明した。音楽イベントやスポーツ観戦など、旅行に出る目的自体も多様化しているという。


