「まだ現役ですけど何か」vol.5 -旅端のひと- 添乗員のパスポートが消えた日
ヨーロッパの視察ツアーを終え、パリ経由で帰国する添乗員 旅端のひと、
「搭乗ゲートで再集合」とご案内し、セキュリティを通って、免税店に立ち寄る。
買い物をしようとして「パスポート・プリーズ」・・・あれっ、ない!「なんでっ?」
「なんでなんでっ?」・・・「え~、どこで落とした?」
「パスポートの忘れ物ありませんでしたか?」
通ってきたセキュリティレーンと両サイドのスタッフに聞くも「 Non 」とつれない。
そんなぁ、そんなはずはありません!
周辺のカゴ(X線通すときに荷物を置くやつね)の中身をひとつずつ探しまくる・・・そりゃ必死になります。
積み上げられている大きなカゴをひとつひとつはずして探す汗だくの姿に、
「あなたの家族が持っているから、まず、聞いてみなさい」
いやいや、家族は日本だよ、そんなこと言われても・・・もう泣きそうなのに、オネガイ、助けて~
すべてのカゴをひっくり返してもどうにも見つからない。
「どうしたらいい?」
「空港の出入国管理局に聞いてみたら? 届いているかも? もしかしたらだけど」
それどこ? こんな広い空港で・・・すんなり探せるか? 間に合う気がしない
すっとぼけて機内突破できないだろうか? 搭乗ゲートでパスポートチェックあるよね、
帰るだけなんだから、そこをなんとかオネガイって・・・通用しないよね
そうこうしているうちに、搭乗ゲート集合時刻も近付いてくる。
とりあえず、オーガナイザーにご連絡
「添乗員少し遅れそうですので、お客様をご確認いただき、先に機内に入っていて下さい」
また、広い、ひろ~い空港を、長い、なが~いエスカレーターを、
祈りながら、日頃の行いを反省しつつ、いい子になるからと誓いながら、ひたすら駆ける
一心不乱で探し尋ねた出入国管理局でも、届いているかもしれないという一縷の望みは打ち砕かれる。
「終わった・・」・・・お客様だけ帰国、添乗員だけ置いてけぼり。明日は領事館か・・・。
ピロピロピローン、お客様より着信 「いま、どちらですか?」
・・・あ~、もうダメだ、観念した。白状して謝ろう
「旅端のひとさんのパスポート、なんでか、ボク持ってます!」
「・・・・・」
「いま必死に探しているところでした。どうしてぇ??? とにかく、搭乗ゲートに向かいます!」
走って、はしって、今度は足取りも軽くなる、搭乗口では、お客様全員が待ち受けて下さっていた。
「ボクが搭乗しようとパスポート見せたら、あなたじゃないって言われて・・あれ? 2冊持ってる」って
お客様に抱きつきたいところをこらえて、「皆様ご心配をおかけしました!」
どうやら、保安検査のときに、隣のカゴに入っていたパスポートを取ってしまったらしく、
そう言えば「家族が持っているから聞きなさい」って言われてた。
家族みたいなお客様が持っていてくれた(笑)、
あの時、セキュリテイの女性は最も適切なアドバイスをくれていたのに、言うこと聞かずにごめんなさい。
こんなことってよくあることなのね~。
添乗員がお客様と一緒に帰国できるということがこの上ない喜び、もう、本当にありがとうございます!
危なかった、心からほっとした。泣きそうだ、こんなことって、あるのねぇ。
機内のビール、最高に美味しかったな♪

老体鞭打ってシャルルドゴール駆けずりまくったあとのビールは沁みるぜ

