JTB社長交代、青海友氏が6月就任 「リアルとデジタルの融合」で成長加速

  • 2026年4月25日
(左から)現社長の山北氏、新たに社長に就任する青海氏

 JTBは2026年6月30日付で社長交代を実施し、常務執行役員で長期ビジョン戦略推進を担う青海友氏が代表取締役社長執行役員に就任する。現社長の山北栄二郎氏は代表取締役会長に就任し、新体制で長期ビジョンの実行を加速する。

 今回の人事は、コロナ禍を経た構造改革と業績回復を踏まえた経営の節目と位置づけられる。山北氏は「大きな飛躍を目指す中での経営の節目のタイミングでの交代」と説明し、危機対応から成長戦略への移行を明確にした。就任以降はコロナ禍による売上の大幅減少や財務悪化に直面する中で資本増強や固定費削減、グループ再編、DX推進を進め、2023年3月期には黒字転換を実現した。

 今後は長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」の実行が最大の焦点となる。グローバル事業の利益比率を50%まで引き上げるとともに、ストック型ビジネス比率30%を目標に掲げ、収益構造の転換を進める方針だ。山北氏は「土台が整ったこのタイミングでバトンを渡す」と述べ、新体制への期待を示した。

 新社長に就任する青海氏は、店頭営業からキャリアをスタートし、マーケティングや経営企画、法人事業などを幅広く経験。コロナ禍では構造改革を主導し、直近ではJTB AmericasのトップとしてMICEやビジネストラベルの強化を推進してきた人物である。

 青海氏は今後の戦略として、デジタルとリアルの融合を軸に顧客体験の高度化を図る考えを示し、「リアルとデジタルはもはや切り離せるものではなくなった」と指摘する。その上で「JTBでぜひ行きたいと思っていただけるような特徴のある体験」を提供する重要性を強調した。AI活用やロイヤリティプログラムの刷新に加え、人による付加価値の提供を重視する。

 また、地域観光とグローバルネットワークの連携強化にも言及し、国内の観光資源を海外市場へ流通させることで新たな需要創出を図る考えだ。人財については「お客様のためになんとか役に立ちたいというメンタリティーは会社の財産」とし、人的価値の強化を成長の基盤に据える。

 一方で中東情勢など外部環境の不確実性については「当面続くと想定せざるを得ない」との認識を示し、適切な情報提供や非旅行事業の強化によるリスク分散を進める方針を示した。

 ポストコロナで旅行需要が回復する中、OTAやAIの台頭により競争環境は変化している。青海氏は今後の企業像について「愛される会社にしたい」と述べ、新体制のもとで交流創造企業としての価値向上とグローバル成長を目指す考えだ。