フィンランド、日本市場は成長段階へ 宿泊数91%回復・冬季はコロナ前超え

(左から)フィンランド政府観光局の沼田晃一氏、クリスティーナ・ヒエタサーリ氏、テーム・アホラ氏

 フィンランド政府観光局(Visit Finland)は日本市場向け観光ワークショップおよびメディアカンファレンスを開催し、日本人旅行市場がコロナ禍からの回復フェーズを超え、成長フェーズへ移行したことを明らかにした。宿泊数や消費額の大幅増加に加え、冬季にはコロナ前を上回る実績も確認され、日本市場の重要性が一段と高まっている。

 今回のワークショップにはフィンランドから過去最大規模となる35社が参加し、日本の旅行会社との商談機会を創出した。代表クリスティーナ・ヒエタサーリ氏は、日本市場について「旅行業界の流通チャネルとの関係性をさらに深めていくことは非常に重要」と述べ、今後の成長を見据えた連携強化の必要性を強調した。

 日本市場の回復は具体的な数値でも裏付けられている。2025年の日本人宿泊数は20万5900泊と前年比46%増を記録し、コロナ前の2019年比で91%まで回復した。欧州主要国の多くが80%未満にとどまる中で、フィンランドはそれを大きく上回る水準に到達している。

 さらに注目されるのが季節別の動向。2025年11月から2026年2月にかけての冬季期間では、日本人宿泊数が2019年同期比を上回り、国際業務担当ディレクターのテーム・アホラ氏は「リカバリーを超えて成長路線に乗った」と強調した。

 市場規模の拡大とともに、ポジションの強化も進む。2025年の北欧における日本人宿泊シェアはフィンランドが52%と過去最高を記録し、北欧の中核デスティネーションとしての地位を確立している。

さらに旅行者数だけでなく、需要の質的向上も顕著。2025年の日本人旅行者による総消費額は前年比61%増と大きく伸長し、単なる人数回復にとどまらない市場拡大が進んでいる。旅行形態は団体から個人旅行へとシフトし、25〜44歳の層が中心となる構造へ変化した。

 こうした変化の背景について、日本支局代表の沼田晃一氏は「日本旅行者の価値観がコロナ禍で劇的に変わった」と指摘し、従来の観光中心から体験価値重視へとシフトしたことを挙げた。その中でサウナを起点とした体験は「サウナ以上のインスピレーション」を生み、旅行動機の多様化につながっていると説明した。

 また、若年層の取り込みも特徴的である。沼田氏は、価格上昇や渡航時間の長期化といった条件下でも25〜44歳が主力となっている点について「価値あるものに自己投資する傾向」が背景にあると分析し、従来とは異なる需要構造を示した。

 フィンランドの競争力について、アホラ氏は、自然とのつながりや安心・安全な環境、平等性に基づく社会構造を挙げ、「自然と身の丈の幸せを大切にする考え方がウェルビーイングにつながっている」と説明した。

 需要拡大を支える供給面の強化も進む。フィンエアーは2025年夏期に日本路線を週25便まで拡大し、欧州路線の中でも最多水準の運航体制を構築した。さらに観光局、航空会社、観光事業者が一体となったパートナーシップにより、需要喚起から受入体制整備まで一貫した取り組みが実現している。

 今後の市場戦略についてヒエタサーリ氏は、成長フェーズに入った日本市場に対し継続的な投資と連携強化を進める方針を示した。沼田氏も「フィンランドはそれぞれが異なるストーリーを持つ国」とし、体験価値を軸とした商品造成の重要性を指摘する。鉄道を活用した周遊なども視野に、さらなる需要拡大を目指す考えだ。