JTB、長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」発表、取扱額2兆5000億円へ事業構造を転換
山北栄二郎代表取締役社長執行役員
JTBは15日、グループ長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」を発表した。山北栄二郎代表取締役社長執行役員が登壇し、2035年のありたい姿や事業ポートフォリオの転換方針を説明した。人口減少やAIの進展など社会構造の変化を背景に、交流の価値を中核とした持続的成長モデルへの転換を打ち出した。
山北社長は同ビジョンについて「10年後の社会を見据え、今何をすべきかをまとめた」と説明した。2035年の世界については、生成AIの進展や人口減少などにより、従来の延長線上の発想では対応できない社会になるとの認識を示し、「究極的には人がいかに豊かな暮らしを送れるかに行き着く。交流こそが人々のウェルビーイングを支える」と強調した。
長期ビジョンでは、文化や自然といった交流の舞台となる地域資源の持続可能性を前提条件と位置づける。オーバーツーリズムについては「ツーリズムそのものの問題ではなく、集中の問題だ」と述べ、時間的・空間的な分散による解決を目指す考えを示したほか、自然災害やパンデミックといった有事においても回復できるレジリエンスの高い観光地づくりの重要性を訴えた。
財務面では、2035年度の目標として取扱額2兆5000億円、売上総利益5000億円、営業利益750億円を掲げた。これに対し、2024年度実績は取扱額1兆6838億円、売上総利益2937億円、営業利益149億円であり、10年間で大幅な成長を見込む。売上総営業利益率についても、2024年度の5.0%から2035年度には15.0%への引き上げを目指す。
この成長を支えるため、事業ポートフォリオの変革を進める。事業利益ベースでのグローバル比率は、2024年度の14%から2035年度には50%まで高める計画だ。また、人の移動に依存しない非人流ビジネス比率を20%から25%へ拡大し、完全に人流が止まった場合でも事業を維持できる構造を構築する。さらに、ストック型事業の比率を11%から30%に引き上げ、短期的なフロー型収益に偏らないモデルへ転換する。
山北社長は投資戦略について、「不動産だけでなく、事業そのものや人財、IPや権利も資産」との認識を示し、優良資産の形成によってキャッシュフローを高め、再投資につなげる好循環を強化する考えを示した。メジャーリーグをはじめとするスポーツ分野の権利獲得や、コンテンツIPへの投資もその一環と位置づけている。
事業戦略は、個人向けのグローバルツーリストソリューション、法人向けのグローバルビジネスソリューション、地域向けのグローバルエリアソリューション、産業向けのグローバルツーリズムインテリジェンスの4領域で展開する。特に着地型ビジネスについては、現地の知見を生かした高付加価値体験の提供をグローバルに広げる方針を示し、ランドオペレーター機能やシートインコーチ型の商品モデルの展開にも言及した。
情報・データ活用については、AIを中核とした基盤整備を進め、顧客データやツーリズム関連データを形式知化することで、暗黙知に依存してきた観光産業の高度化を図る。山北社長は「データの上に人の力をどう重ねるかが重要」と述べ、共感力や創造性、信頼構築といった人ならではの価値を高め、データと人の力による共創を図る考えだ。



