「サウンド・オブ・ミュージック」60周年のザルツブルク、モーツァルトやクリスマス市などを軸に外客誘致を展開
■ 60周年の「サウンド・オブ・ミュージック」は2026年に新たな博物館も
1965年の公開から60年を迎えた映画「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地を巡るツアーも、今なおザルツブルクの主要なテーマだ。この映画はかつてザルツブルクで暮らしていたゲオルク・フォン・トラップ大佐の妻マリアの自伝をもとにしたほぼ実話の物語で、撮影の一部はザルツブルクに残る一家ゆかりの地や町の名所で行われ、そのいくつかが観光名所となっている。
研修旅行ではミラベル宮殿や馬洗場など、市内のロケ地を散策したほか、パノラマツアー社の半日ツアーを利用してザルツカンマーグートやレオポルズクーロン城、ガラスのパビリオン・ガゼボがあるヘルブルン宮殿などを巡った。特に映画でマリアとトラップ大佐が結婚式を挙げたザンクト・モントゼー教区のサンクト・ミヒャエル教会は市内から距離がありアクセスしづらいため、こうしたツアーを活用するのも一案だろう。
また、ヘルブルン宮殿には2026年夏に「サウンド・オブ・ミュージック博物館」がオープンすることになっている。展示内容は映画のロケにまつわるものや、実在のトラップ一家に関する展示になる予定だという。
なお、このたび参加したパノラマツアー社の半日ツアーは70人乗りの大型バスが、米国人観光客で満席。参加者も若者からシニア、家族連れなど幅広く、米国ではこの映画が親から子、孫へとファンを拡張しているようで、実際に映画は2024年時点の歴代興行収入が依然世界第3位となっている(米国調査会社調べ)。今回研修旅行で鑑賞した「サウンド・オブ・ミュージック60周年ガラコンサート」は会場が約2000人の観客で埋め尽くされ、60年を経ても衰えない映画の人気を改めて感じさせられた。
オーストリアでは「サウンド・オブ・ミュージック」がザルツブルク市のマリオネット劇場の演目にもなっているほか、15年ほど前からミュージカルも上演され(日本では劇団四季が上演)、ガラコンサートでは映画の名曲がドイツ語でも歌われるなど、この映画作品が60年を経て多様なメディアで展開していることが改めて伺えた。映画はザルツブルクのプロモーション映像としてもこれ以上ないほどによくできている。ミュージカル、あるいは実在のトラップ家など、多様化した切口を活用して消費者に訴えるのもいいだろう。






