航空連合、第27・28期運動方針を発表 価格転嫁への取り組みなど求める

航空関連産業の労働組合で構成される航空連合(JFAIU)は10月6日、第27・28期(2025〜2027年)の運動方針について記者会見を開いた。会見には小林茜新会長と坂元慎平新事務局長が登壇し、今後2年間の重点課題として「安全と人材確保」「生産性向上」「組織拡大」を柱に掲げた。
小林氏は2009年に日本航空(JAL)に入社後、整備士やJAL労組、連合本部での勤務を経て10月2日の定期大会で新会長に就任。会見冒頭には「航空も女性が多く働く産業。ジェンダーの視点を意識しながら、働く者の視点で運動を推進していきたい」と意欲を語った。
続いて坂元事務局長は、国土交通省が設置する「国内航空のあり方に関する有識者会議」に触れ、「国内線事業の基盤強化は極めて重要な課題。国民生活を支える交通インフラであり、地方創生にも関わる」と述べ、「我々は航空を成長産業として位置づけている。国に対しても後押しとなる施策を引き続きお願いしていきたい」と語った。
今回の運動方針は、「いつの時代も社会から必要とされ、働く仲間がやりがいと誇りを持って働ける産業の実現」を掲げる航空連合ビジョンのもと、以下の三つを柱とした。
第一の柱は「安全の堅持と人材の確保」。飲酒事案の再発防止を含む安全意識の醸成、空港保安の強化、作業安全体制の充実を推進する。また若年層の志望離れが進む中で、産業で働く魅力を発信し将来の担い手を確保する考え。
第二の柱は「産業政策と労働政策の好循環による圧倒的な生産性向上」。国内線の事業環境の悪化などを背景に、生産性向上の実現に必要不可欠な"人への投資"を強化することで、産業全体の雇用確保・維持に取り組む。
第三の柱は「仲間の輪の拡大と運動の変革」。坂元事務局長は「労働組合で何よりも大事なのは、組織の仲間を増やしていくこと」と説明し、所属従業員を増やす方針を示すとともに、ジェンダー平等やダイバーシティ推進にも取り組むという。
2025年春闘の結果については、「ベースアップとして1万2000円または4%を掲げ、平均で1万1000円あまりの賃上げを実現した」と報告。その上で「他産業に比べると賃金格差はいまだ大きく、休み方を含めた働き方の課題も残っている。勤務間インターバル制度(11時間)の締結拡大を進め、引き続き環境改善に取り組む」と強調した。
さらに「価格転嫁を進めなければ、持続的な賃上げは難しい」として、運送業界などを例に、航空業界でも労務費を適正に取引へ反映させる仕組みが必要と訴えた。