ETC日本支部、「美味しいヨーロッパ」特設サイト公開 食を軸にB2B支援を拡大

  • 2025年9月29日

 ヨーロッパ観光委員会(ETC)日本支部は、食文化をテーマにした特設ウェブサイト「美味しいヨーロッパ Gastronomy Journey」を9月24日に公開した。消費者向け訴求に加え、旅行会社が活用できる素材提供や情報発信を強化し、ガストロノミーを切り口に欧州商品の造成と需要喚起を狙う考えだ。

 本取り組みは、各国・地域が個別に行ってきた食の訴求を「ワン・チーム」で束ね、欧州全体として初めて共同で推進する点が特徴。サイトでは料理やスイーツ、ワイン・ビールなどのアルコール類からソフトドリンクまでを網羅し、食に関わる祭りやサステナビリティの物語まで多面的に紹介する構成で、多様性ある欧州の食の魅力を一体的に発信する。

 今後はBtoCと並行してBtoBも強化し、JATAの協力のもと、食文化をテーマにした旅行商品づくりに必要な情報や画像データをサイト上で提供する。これにより旅行会社の企画・造成を後押しし、食を取り入れた欧州商品の拡大と新規需要の掘り起こしを目指すとしている。

 参画は13カ国で、観光から一歩踏み込んだ「ガストロノミージャーニー」の魅力を伝える狙いだ。地域固有のグルメ体験を通じて旅の深度を高め、欧州ならではの多様性に根差した食の価値を訴求する。

 ETC日本支部の沼田晃一氏は、渡航時間が伸びるなかでより深い体験とインスピレーションを感じてもらえる販促が重要だとし、持続可能な販売促進には業界横断の新たな枠組みが必要と述べた。2025年を第一歩と位置づけ、旅行業界とともに魅力的な仕掛けを作りたいとする。

 また西山晃氏は、まず欧州全体に目を向けてもらうことを狙いに、歴史や文化などの共通性と多様性を併せ持つ欧州の特性を活かし、「競合する前に協力する」ETCの枠組みで今回の共同プロモーションに至ったと説明した。

 ETCは1948年設立で、現在35の観光局が加盟する。市場情報の提供やベストプラクティス共有、共同プロモーションを通じ、欧州各地の観光価値向上に取り組んでいる。