キャセイ、アジア・マイルで日本展開強化 ライフスタイルと航空投資を両輪に

キャセイパシフィック航空(CX)は、会員プログラム「アジア・マイル」を中核としたライフスタイル事業の日本展開を強化する。8月20日、同社グループのカスタマー・ライフスタイル・ディレクター、ビビアン・ロー氏が来日し、都内で開催されたイベントで、日本市場における今後の方向性を語った。
ロー氏はプレゼンテーションの冒頭で、「キャセイは空の上だけでなく、日常生活のあらゆる場面でお客様とつながるプレミアムライフスタイルブランドを目指している」と語り、航空分野を超えた展開の重要性を強調した。現在キャセイは、日本市場において決済・ショッピング分野を中心にマイル提携を拡大しており、三菱UFJニコスやダイナースクラブといったカード会社のほか、三井アウトレットパーク、ビックカメラ、京王百貨店、ロッテ免税店などが提携先として名を連ねる。
また、飲食やウェルネス分野でも東京銀座の「鮨よし」や「ルネス青山デンタルクリニック」といった施設との連携を進めており、今後も提携先を拡充していく方針だという。
海外では、シンガポールや香港でコンサートなどのエンタメ商品の会員向け販売や、レストラン予約サイトとの連携によるマイル加算も展開しており、日本でもこうした日常シーンに根差した取り組みを進めていくとした。
アジア・マイルの特長として、マイルは獲得・利用を18ヶ月以内に行えば失効しないことも紹介され、日常的にマイルを活用しやすい仕組みが整えられている点を強調。
キャセイは、航空・貨物・LCCに加えてライフスタイル事業を中核とする事業体制を構築しており、会員プログラムを軸としたライフスタイル・エコシステムの展開に注力している。ロー氏は「会員の皆様が、日本を含めた世界中でマイルを貯められるようにしていくと同時に、日本の会員の皆様には日常生活でマイルが貯められるように支援していきたい」と発信した。
同社は今月6日、長距離路線向けのボーイング777-9型機14機の追加発注を発表しており、航空ネットワーク強化にも取り組む。顧客サービス面では、2026年にA330型機へのフルフラットベッドのビジネスクラス導入、2027年には777-9型機の初号機到着を予定するなど、機材刷新も加速している。
さらには、ラウンジでも改装や新設を進めている。今年5月に香港国際空港でビジネスクラスラウンジ「ザ・ブリッジ」がリニューアルオープンしたほか、今月には北京首都国際空港のラウンジを改装、来年にはニューヨークで新しいフラッグシップラウンジの開設を計画しており、ライフスタイル事業を含む多角化戦略と並行し、基盤となる航空分野でも投資強化の姿勢を示している。