【現地レポート】パンダ返還後を見据える、成都×九寨溝の魅力
寛窄巷子と太古里、そして世界遺産・九寨溝へ
成都土産やショッピングでは、成都観光の定番ともいえる「寛窄巷子」へ。歴史ある街並みに整備された観光スポットで、石畳の通りに豆板醤専門店や磁器ショップ、老舗火鍋店などが立ち並ぶ。茶店では、緑茶・ジャスミン・金木犀の紅茶などを試飲でき、四川茶文化を肌で感じることができた。
対照的に、歴史的な建築物に現代的なショップが立ち並ぶ「太古里」は、映えスポットが豊富で若者や都市型トラベラー向け。ハイブランドやスポーツブランドなど幅広いショップが集まっており、特に「歴史建築×ルイ・ヴィトン」が目を引いた。
さらに、旅のハイライトともいえるのが世界遺産・九寨溝への訪問。かつてはアクセスの難しさが課題とされたが、2024年に成都〜九寨溝間の高速鉄道が開通し、移動が格段にスムーズになっている。列車内は清潔で車内販売もあり、快適に過ごせたのが印象的。なお、乗車時にはパスポートの提示が必要だった。
高速鉄道で成都から約2時間、標高約2900mに位置する黄龍九寨駅に到着。その後、バスに乗り換え、約1時間半かけて今回の宿泊先である「ヒルトン九寨溝リゾート」へ。同ホテルから九寨溝までは約15分ほど。
九寨溝エリア内では多くの観光バスが往来していたが、路線バスを利用して移動している観光客も多く見かけた。五花海、長海、五彩池といった有名スポットは、写真で見る以上に色彩が美しく、息を呑む光景が広がっていた。特に長海は標高約3100mに位置する最大の湖で、その深く澄んだ青は心に残る景観だった。今回は老虎海から正雲海までを徒歩で巡り、湖や滝など自然の中をじっくりと楽しむことができた。
ヒルトン九寨溝リゾートでは、他にも日本人観光客の姿が。食事はビュッフェ形式で提供されており、豊富なメニューの中には、一部に日本食も含まれていたのが印象的だった。設備やサービスも申し分なく、自然豊かな九寨溝エリアにおいて、安定した滞在拠点として提案しやすい宿泊施設ではないだろうか。また、九寨溝エリア内はお手洗いも全体的に整備されており、利用に困るような場面は少なかった。
"パンダだけじゃない"成都の魅力
成都というと「パンダ」や「四川料理」といったイメージが先行しがちだが、実際に現地を巡ってみると、モダンなショッピングエリアやエンタメ性のある火鍋店など、都市観光としての幅広さを感じられた。さらに、高速鉄道の開通によりアクセスが容易になった九寨溝を組み合わせることで、都市と自然をつなぐ周遊型の観光も魅力的。
特に今後は、パンダ返還を契機に「本場に会いに行く」との動きが高まる可能性もある中で、直行便も就航している成都に注目したい。