シドニー、インセンティブ誘致へ日本に継続投資、新空港など魅力発信も-日本旅行は重点市場に設定

  • 2025年8月3日

 ニュー・サウス・ウェールズ州へのMICE誘致活動を担うビジネス・イベント・シドニー(BEシドニー)から日本市場の担当者らがこのほど来日し、7月24日に日本旅行と、29日にJTBとそれぞれイベントを開催した。両社の顧客であるオーガナイザーを夕食会に招待してシドニーと周辺各地の魅力を伝え今後のインセンティブツアーや社内イベントの開催地としての選定をめざすもので、2019年にもBEシドニーの50周年を記念して日本旅行と共催していた

 24日の日本旅行との会では、チーフ・クライアント・オフィサーのクリスチャン・ニコルス氏がビデオメッセージで登場し「日本は最重要市場のひとつ」「今後も投資を継続する」と表明。

 またグローバルコーポレート&インセンティブ担当ディレクターのシネイド・ヨー氏も登壇し、良好な日豪関係などをアピールするとともに「世界的に地政学的不安が増すなかでインセンティブを様子見する企業もあると聞いている」とした上で、「欧米や中東は避けたいがアジアは何度も行っているというオーガナイザーにとって、シドニーは非常に魅力的な選択肢になると自負している」と語りかけた。

 ニコルス氏とヨー氏、そしてプレゼンテーションを担当した日本市場担当のクライアント・エンゲージメント・マネージャーのルーシー・ジン氏が共通して強調したのは大規模なインフラ整備・再開発計画の数々で、一例として2026年には西シドニー国際空港が開港するほか年内も南半球最大となるシドニー・フィッシュ・マーケットが完成予定。

BEシドニーのシネイド・ヨー氏

 このほか、オペラハウス以降で最大の文化・芸術プロジェクトというパワーハウス・パラマタなども建設が進められており、こうした施設が今後数年で次々にオープンすることでMICEデスティネーションとしての競争力がさらに高まっていくと期待している。

 ヨー氏は本誌取材に対し、2019年のイベントは直後にコロナ禍となってしまったが、需要も回復基調となって再び開催するのに適したタイミングと判断したと説明。「キーパートナー」である2社の顧客に対してシドニーの認知や理解の向上を働きかけるとともに、2社の営業スタッフの意欲も高めるねらいで、顧客は合計で約25社を招待したという。

 また他国やオーストラリアの他都市との差別化では、日本からの直行便を含むアクセスの利便性が高いことやアクティビティの多様さなどに加え、BEシドニーの55年以上の活動を通して培った経験やノウハウ、そして企業や団体の成長に貢献したイベントの実例が豊富に揃うことも挙げた。

日本旅行の小池順氏

 なお、日本旅行からはソリューション事業本部企画部担当部長の小池順氏が挨拶に立ち、今秋から海外団体の販売の底上げを目的に「海外団体戦略国」を設定してそのひとつにオーストラリアを選定することを発表。単純な送客キャンペーンにとどまらず、SDGsや観光MaaSなどのテーマごとに日本旅行独自のコンテンツを用意して「目的意識をはっきりと持ったツアーをご提案することで単発ではなく継続的にご訪問いただく」ことをめざし、BEシドニーなどと協力して取り組んでいく方針を語った。