西オーストラリア「ムルジュガ」が世界遺産に登録、先住民文化の継承地として注目

  • 2025年7月29日

 オーストラリア北西部の「ムルジュガの文化的景観」が、7月11日にユネスコ世界遺産として正式に登録された。先住民アボリジナルの伝統と5万年以上にわたる文化的営みが評価され、今後の注目が期待される。

 ユネスコの世界遺産リストに新たに加わった「ムルジュガの文化的景観」は、オーストラリアで21番目の世界遺産で、先住民文化を中心としたものとしては2件目の登録となった。ムルジュガは、西オーストラリア州のピルバラ地域に位置し、ダンピア諸島とバーラップ半島を含む広大な自然景観に囲まれている。

 ムルジュガの最大の特徴は、推定5万年以上前から刻まれてきた約200万点に及ぶ岩絵群。これらには、アボリジナルの人々が土地・海・家族・儀式・精霊との関わりを記録したもので、世界でも屈指の文化的価値を有している。

 この地の保護と継承を担ってきたのが、「ンガルダ=ンガリ」と呼ばれる5つの言語グループから成るアボリジナルの人々。彼らにとってムルジュガは「生きた祖先」であり、現在も文化的な営みが続く特別な場所となっている。こうした精神性と文化の継続性も、世界遺産登録において高く評価された要因となった。

 観光面では、「ムルジュガ・アボリジナル・コーポレーション」によるガイド付きツアーが提供されており、訪問者は伝統的所有者の視点から岩絵を見学できる貴重な体験が可能となっている。ツアーはカラサ発で、州都パースからカラサまでは航空便で約2時間。空港からはレンタカーが利用可能で、多くのガイドツアーでは送迎も含まれているという。