Airbnb.org、日本発の災害時宿泊支援プログラムを始動 年内に8カ国へ展開
Airbnbが設立した非営利団体Airbnb.orgは、日本国内で自然災害が発生した際に、支援の要請から24時間以内に緊急宿泊先を提供する新たな支援プログラムを発表した。この仕組みは、日本を起点とした世界初の制度化された災害支援モデルとして構築されたもので、今後はグローバルにも展開していく計画。6月9日に開催されたメディアラウンドテーブルでは、同団体の責任者クリストフ・ゴーダー氏が登壇し、日本を起点に年内に8カ国へ展開する方針を示した。
Airbnb.orgは、被災者らに一時的な無償の宿泊支援を行うために2020年に設立された団体。世界各地での支援実績があり、これまでに25万人以上に対し、160万泊を超える滞在を提供している。直近では、韓国やロサンゼルスでの山火事、ブラジルの洪水、タイの地震など、国際的な災害に対応しているという。
今回日本で発表されたプログラムは、地震や台風、津波といった大規模災害発生時に、Airbnbを通じて24時間以内に避難先となる宿泊施設を提供する仕組み。対象は避難者だけでなく、医療従事者や救援活動を行う支援関係者も含まれる。ホストへの受入れ協力の呼び掛けなど緊急時に即応できる体制が整備され、全国47都道府県で展開される。
また、本プログラムには、日本を代表するNGOであるピースボート災害支援センター、ジャパン・プラットフォーム、ピースウィンズ・ジャパンなどがパートナーとして参加しており、支援対象者の特定や受け入れ調整を担う。実際の運用においては、地域ごとの被災状況に応じて支援を柔軟に展開できるのが特徴だ。

日本での先行導入にあたっては、2024年の能登半島地震での支援経験が下地となった。同地では、石川県およびRCFなどの団体と連携し、実際に避難者の宿泊支援を行っており、今回の制度化に向けた足がかりとなった。ゴーダー氏は、自然災害の多さや国家戦略として防災に優先的に取り組んでいることが先行導入の理由と述べ、日本での成功事例を築き、各国に展開していく方針だ。
登壇したNGO関係者も、「災害時には避難所に行けない方や、家族構成や医療的な配慮が必要な方も多い。こうした人々に安全な滞在先という選択肢を提供できる意義は非常に大きい」と述べ、Airbnb.orgとの連携に高い期待を寄せた。
今後Airbnb.orgは、日本国内でさらなるホストの協力を募るとともに、自治体との連携強化を進める方針。ゴーダー氏は支援を行うにあたって、平時からの準備とネットワークづくりの重要性を指摘しており、持続可能な支援体制の整備に意欲を示した。
本プログラムは日本を起点に、年内には豪州、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ブラジル、メキシコ、米国の8カ国でも展開される予定。Airbnb.orgはこの取り組みをグローバルで発展させ、災害時の迅速な支援に貢献していく構えだ。