日本旅行、120周年節目に社長交代 吉田新社長「旅行会社の存在価値を再構築」

  • 2025年5月24日
(左から)小谷野悦光氏、吉田圭吾氏

 日本旅行は23日、社長交代に関する記者会見を実施し、現社長の小谷野悦光氏が取締役会長に、常務取締役の吉田圭吾氏が代表取締役社長に内定したと発表した。創業120周年および中期経営計画の最終年度という節目を踏まえ、次期体制への移行と中長期戦略の方向性を示した。

 会見では、小谷野氏が新体制の狙いとして、2026年度以降を見据えた次期中期経営計画の策定に向け、会長と社長の2名体制で経営基盤を強化する考えを強調した。吉田氏については、グループ会社の社長経験を含む豊富な現場・営業・管理業務の知見を評価し、「ガッツと実行力を兼ね備えた後継者」と紹介した。

 吉田氏は「旅行会社の存在価値が問われる時代」とした上で、地域との協働による課題解決型事業への注力を表明。特に、人的資源やAIを活用した効率化、外国人材支援、インバウンド誘致など、旅行業の枠を超えた取り組みを展開していく意向を示した。

 記者団との質疑応答では、現行中計における海外旅行需要の低迷とインバウンド需要の回復を踏まえ、次期計画では「双方向の国際交流」に軸足を置く方針を示唆。JR西日本との連携強化や、富裕層向け事業の共同推進なども言及された。

 また、地方創生分野においては、「観光誘致にとどまらず、地域産業の育成や移住支援など、生活圏そのものへの貢献を志向する」と述べ、旅行業の枠を越えた地域密着型の展開に意欲を示した。

 なお、この人事は、2025年6月27日開催予定の臨時株主総会および取締役会を経て正式決定される見通し。