「変化の時代を、業界とともに前へ」-インフィニ高橋社長が語る連携と進化

  • 2025年5月20日
-中長期的な展望については、どのようにお考えですか。

高橋 よく「合計と平均に真実はない」と言われますが、まさにその通りだと思っています。大きな数字の捉え方だけでは見誤ることもある。ですから、より小さな単位で市場を見て、それぞれのセグメントに最適な戦略を立てていくことが求められています。

 国内シェアの維持は重要ですが、グローバル化が進む中では、単純なシェア争いよりも、業態や規模、マーケット別に細分化した戦略が求められています。ホールセラー、リテーラー、レジャー、ビジネストラベルなど、それぞれに最適なアプローチが必要です。

 私たちの創業理念である「Being Together」は、ステークホルダーの皆さまとともに課題を乗り越え、共に成長していくという精神です。数値目標よりも、この理念を具体的にどう実現するかが、今後の中長期戦略の柱になると考えています。

-トラベルビジョンの読者である旅行業界・観光産業関係者へのメッセージをお願いします。

高橋 私は最近、社員にも「もはや“アフターコロナ”という言葉自体が現実にそぐわないのではないか」と話しています。コロナ禍以前と比較して、どう戻すかという視点ではなく、今この瞬間を“新しい前提”と捉えて動いていくことが重要だと感じています。

 たとえば、2024年の日本人出国者数は1,300万人と発表されていますが、コロナ前の2,000万人に対してはまだ700万人ものギャップがあります。その不足分は主にレジャー層だと見られており、紙パンフレットによる集客が主流だった層にリーチできていないのが現状です。

 しかし、その700万人分の需要は、確かに存在する“潜在需要”だと私は信じています。物価や円安だけで説明できる問題ではなく、今後は社会全体が価値観を更新し、旅行のあり方を再定義していく必要があります。

 たとえば、かつてパッケージ旅行の黎明期に「トリスを飲んでHawaiiへ行こう!」のようなキャンペーンが話題となり、旅に対する意識を変えたように、今もまた新たなイノベーションが求められています。誰かがユニークな問いを立てて挑戦すれば、そこから新しい旅の形が生まれるかもしれません。

 パスポート取得率の向上や、若年層への働きかけも含め、レジャー市場全体を活性化させる取り組みが必要です。業界全体で知恵と工夫を出し合い、手を取り合って需要の回復・創出を図っていくべきタイミングだと思っています。 私たちインフィニも、その一翼を担いながら、未来のアウトバウンド市場の発展に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。