宿泊業界の変化は?民泊業界は一棟貸切や「古民家」に注目?-WiT Japan2023

  • 2023年9月7日
he New World of Hospitality」パート1セッションの様子

 7月上旬に都内でリアル開催された旅行テクノロジー業界の国際会議「WiT JAPAN & North Asia 2023」には、宿泊業界からも多くの登壇者があった。2日目には「The New World of Hospitality」をテーマに2つのセッションが開催され、日本の宿泊業界の現状や未来のテクノロジーなどについて議論が交わされた。今回はセッションの様子を紹介する。

コロナでライフスタイルホテルに注目、訪日客向けに値上げも検討

IHG・ANAホテルズグループジャパンCOOの勝島基江氏

 「The New World of Hospitality」のパート1ではIHG・ANAホテルズグループジャパン、HOTEL GROOVE SHINJUKU & BELLUSTAR TOKYO、ホテルや産後ケアリゾートの運営している水星から3名が参加し、コロナ禍でのホテル業界を振り返った。

 IHG・ANAホテルズグループジャパンCOOの勝島基江氏は、コロナ前はレストランや宴会場付きのフルサービスホテルがメインで、料飲部門が経営を支えていたが、コロナにより「ホテル インディゴ」「キンプトン」といった宴会場やホテルに重きを置かないライフスタイル型のホテルが求められるようになってきたことを指摘。

 そうした状況を踏まえて「ゲストエクスペリエンスの個人化により顧客の囲い込みをはかっている」と話し、「グローバルホテルの場合はグローバルサイトしかないが、IHGには日本独自のサイトがある。グローバルサイトに掲載されないような地域情報などを掲載することでバリューを提供している」と自社の取り組みを紹介した。

HOTEL GROOVE SHINJUKU & BELLUSTAR TOKYOレベニューマネジメントディレクターの古沢英明氏

 一方、東急歌舞伎町タワーに今年5月に開業した2軒のホテル「HOTEL GROOVE SHINJUKU」と「BELLUSTAR TOKYO」でレベニューマネジメントディレクターを務める古沢英明氏は「将来が不透明になり、市場や需要がどうなるかわからないコロナ禍で開業準備を進め、いろいろなシナリオを立てた」と当時を振り返った。

 HOTEL GROOVE SHINJUKUはライフスタイルホテル、BELLUSTAR TOKYOはラグジュアリーホテルと2軒のホテルは違うカテゴリ。2軒とも東急ホテルズ&リゾーツが運営を担当している。古沢氏は「需要は高い」としながらも、円安の打撃を受けるなか「対ドル為替レートは(7月現在)3~4割違う。訪日客向けには宿泊料を見直し、値上げを考えてもいいのでは。将来的にはそうした変化が考えられる」と話した。

 両社ともコロナ禍中にテクノロジーの導入を進めているところ。勝島氏は同グループのほとんどのホテルでモバイルチェックイン・アウトを導入したほか、顧客の健康情報や好みなどの情報管理を深化させた上でサービスを提供していることを説明。古沢氏は自動チェックインをキヨスクで可能にしたほか「レベニューマネージメントについてもOTA経由でPMS(ホテル管理システム)にシームレスに情報が入ることが重要」と話し、レベニューマネージメント分野のさらなるシステム化を進めたことを紹介した。