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観光産業の人材育成・確保とDX活用を考える、TIFS設立記念観光リカレント特別セミナー開催

パネルディスカッション第2部「観光ビジネスにおけるDX活用」

【パネラー】
Wamazing 代表取締役/CEO 加藤史子 氏 
パソナJOB HUB ソーシャルイノベーション部長 加藤遼 氏 
Tokyo Creative 代表取締役 中川智博 氏 

【コーディネーター】
大阪観光大学観光学部 教授 小野田金司 氏 


 第2部では中川代表が観光ビジネスにおけるDX活用に関し「ここはすごいと思える地域の事例はないか」と他のパネラーに対して問いかけたが、残念ながら観光ビジネスにおける「すごい」事例は挙がらなかった。一方、他業界の事例ならば最近感動したDX活用があるとしたのは加藤史子CEO。「回転ずしのスシローのDXは本当にすごい。どうすごいのかは実際に体験してみてほしいが、予算が1人2000円程度のスシローと1人4万円超の高級すし店とを比べても、意味は同じではないにしても同程度の満足感を得られるほどにすごい」と紹介した。

 加藤遼部長は「DXはあくまでも手段」としたうえで、DXという手段をうまく使える「仕組み作りをする方がより重要な点」との見解を示した。その仕組みの事例として第1部のパネラーを務めた井口代表が手掛ける「さかとケ」事業を取り上げた。「さかと」は事業拠点がある新潟県南魚沼市の坂戸地区にちなんだもので、「ケ」は人と人を結ぶ拠り所の意味がある。「さかとケ」は宿泊事業の範疇だが、ハウスワーク(家業の仕事)を手伝いながらハウスステイする拠点として機能する仕組みで、人や気づきとの偶然の出会いを作る場でもある。会員制コミュニティとして運営され、ハウスワーク5時間で1泊素泊りの宿泊料が免除される。こうした仕組みがあったうえで「こうした新たな仕組みをすぐ簡単に利用できたり、それ以外の体験アクティビティの円滑な手配を可能にするためにこそDXを使う」のがDX活用の本来的な価値だというわけだ。

 加藤史子CEOはこれから社会参加が進むデジタルネイティブな若年世代による観光のDXに期待する。また「人口動態から見ても今後は若年世代が増加する東南アジアからの訪日外国人が増えるはず。デジタルツールが当たり前の世代に対応するには、そこに目線を合わせた取り組みが不可欠で、デジタル環境上に情報を発信できなければそこに存在しないことと同じ。DXは『やらなければ』ではなく『やるのが当たり前』と受け止めなければならない」と指摘した。

 中川代表は、より具体的なデジタル活用方法に言及し、情報発信における動画の重要性を強調。「動画、それも長尺ものではなく縦型のショート動画が情報の入り口として非常に重要になってきている。そこを入口としてYouTubeなどの長尺動画につなげて行ける工夫が求められる」としている。

パネルディスカッションの様子