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JTB予想、2023年の国内旅行はコロナ前の9割へ回復、平均消費額は2000年以降最高に

 JTBは1月26日、2023年の旅行動向見通しを発表した。国内旅行者数は前年比108.6%、19年比91.2%の2億6600万人、海外旅行者数は前年比289.7%、19年比40.4%の840万人、訪日外国人旅行者数は前年比550.6%、19年比66.2%の2110万人と推計。同調査は日本人による出張や帰省を含む1泊以上の旅行と訪日外国人旅行について、各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループによるアンケート調査などから推計したもので、海外旅行および訪日外国人旅行を含む発表は3年ぶり。

2023年 年間旅行動向推計数値(プレスリリースより)※クリックで拡大

 国内旅行については、行動制限の要請がなくても自発的に旅行を控える人も一定程度いるとの考えから、旅行者数はコロナ前を割り込むと想定。一方、平均消費額は物価上昇の影響を受け前年比101.5%、19年比105.8%の4万300円、国内旅行消費額は前年比110.2%、19年比96.4%の10兆7200億円と予測した。平均消費額は2000年以降で最高額となる。全国旅行支援もあり旅行意欲は高く維持され、円安や燃油費高騰の影響により海外旅行から国内旅行へのシフトも期待されるものの、物価高に伴う景況感は厳しい状況が続くとみている。

 海外旅行については、平均消費額は円安と燃油費高騰の影響を受け前年比101.8%、19年比124.3%の29万4900円、海外旅行消費額は前年比295.2%、19年比52.0%の2兆4800億円と推計。1人あたりの平均消費額は2000年以降で最高額となるものの、日本の出入国の手続きがコロナ前と同じ条件に戻っていないことも障壁となり、訪日客と対照的に緩慢な伸びになると予測する。海外旅行に行く条件としては「円高が進めば」「休みがとれれば」「旅行先の新型コロナの感染状況が落ち着けば」「手頃なプランや宿泊施設がとれれば」などが上位を占めた。

 23年は祝日が土曜日と重なる日が3回あるため、3連休以上の休みは昨年の9回から7回へ減少する。ゴールデンウイークは5月3日(水・祝)から7日(日)までの5連休で、5月1日(月)、2日(火)を休めば4月29日(土・祝)から9連休となる。そのほか2月は24日(金)、3月は20日(月)、11月は24日(金)を休むと土日とつなげて4連休となるが、夏休みや年末年始はやや長期休暇が取りにくい日並びとなっている。

 訪日外国人旅行については、22年10月に水際対策が大幅に緩和されて以降、韓国、タイ、シンガポールなどからの訪日客が増加しており、急回復が期待できると予測する。コロナ前に訪日客で最も高い割合を占めていた中国は、23年1月時点では回復の目途は立っていないものの、7月以降に回復が本格化し、その後急回復すると想定している。

大型イベント開催や高級ホテルの開業が続々、23年の旅行市場

 今年は国内外で大型イベントの開催が控えている。スポーツでは3月8日から21日に米国・台湾・日本で「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」、7月14日から30日に福岡で「世界水泳選手権2022」、9月8日から10月28日にフランスで「ラグビーワールドカップ2023」が行われる。また国内の大型イベントとしては東京ディズニーリゾートの40周年を記念したアニバーサリーイベントが開催されるほか、東京でジュラシックワールド展や東京ビエンナーレ2023などが予定されている。

 開業予定の施設としては、商業施設では3月10日に「東京ミッドタウン八重洲」、4月に「東急歌舞伎町タワー」がオープンする。夏にはとしまえん跡地に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が、秋には横浜のみなとみらい地区に約2万人収容の「Kアリーナ横浜」が開業する。宿泊施設については、関東では「ブルガリホテル東京」、「アマンレジデンス東京」、「ジャヌ東京」、「ヒルトン横浜」、関東以外では「voco大阪セントラル」、「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」、「デュシタニ京都」、「アマンニセコ」など、全国で高級ホテルの開業が続く。