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「海外旅行の機運醸成を」、トラベル懇話会-コロナで世界の構図激変も

コロナ禍は世界大戦、大恐慌並みの大事件に?

北岡伸一氏

 講演会では、国連大使や国際協力機構(JICA)理事長などを歴任し現在は東京大学名誉教授やJICA特別顧問などを務める北岡伸一氏が登壇。「世界地図を読み直す」と題し、現在の世界情勢や構図が変化する可能性とそのなかで日本が取るべき選択肢について同氏の経験や視点から語った。

 北岡氏はまずコロナ禍が第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦に匹敵する規模の変化を世界にもたらす可能性を指摘。具体的には、一次大戦ではロシアのロマノフ、ドイツのホーエンツォレルン、オーストリアのハプスブルクという歴史ある王家が消滅してオスマン帝国も崩壊し、代わって米国が台頭。デモクラシーの時代が到来した。

 しかし大恐慌で米国や英国の経済が大打撃を受け、それに替わり力をつけたのは全体主義であるムッソリーニのイタリアやスターリンのソ連、ケマル・アタチュルクのトルコなど。大正デモクラシーとワイマールデモクラシーが衰退していた日本とドイツでは軍国主義とナチズムが台頭してしまった。そして二次大戦では米国が超大国になり地位を確立。ソ連も一定の地位を確立して冷戦が始まった。

 北岡氏は、こうした世界的な大事件が起きる時には世界の構造が変わる可能性があるとし、その際には「それまでの勢いが加速する格好になることが多い」と分析。現在は、2021年に起きたアフガニスタンの政権崩壊やミャンマーのクーデター、2022年のウクライナ戦争もあり現在は国際関係において「第二次世界大戦後で一番難しい状況」との考えだ。

 そして北岡氏は「コロナ禍が世界を変えるとすればおそらくこれまでの勢いである、中国の台頭が世界に広がる可能性があると思う」とし、中国の膨張と拡大を食い止めることが必要だと訴えた。