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【ホテル総支配人リレーインタビュー】第18回 コンラッド大阪総支配人 マルコ・ティラフェリ氏

  • 2023年1月18日

「人こそ財産」で回復先行
23年は19年比で2桁増見込み

-コロナ禍の最中でのご就任でしたが、当時どのように考えていらっしゃいましたか?

ティラフェリ 私の考えは明確で、最優先事項はチームメンバーの安全と雇用の維持。誰ひとりとして解雇せず賃金カットもしない、そう決心してオーナーと弊社内の了解も得ていました。

 それどころか周囲のホテルが人員削減に動いているなか逆に採用も続けました。回復期に素早く動くには優れた人材が不可欠。当時のこうした判断が、現在の他社に対する優位性の1つと言えると思います。

-直近の平均客室単価(ADR)や稼働率はいかがでしょうか?

ティラフェリ 間違いなく上り調子です。まずは稼働率が回復し、往来再開でADRも上昇しています。11月の稼働率は80%を超える見込みで(※取材日は2022年11月24日)12月はほぼ満室。ADRは大阪のラグジュアリーホテルのなかで引き続きナンバーワンを維持しており、むしろその差は開いています。

 そして、2021年も営業総利益(GOP)は一度もマイナスになっていません。つまり誰も解雇せず賃下げもせずに、オーナーにも会社にも利益をもたらすことができた。そして我々の販売可能客室1室あたり収入の指数(RGI)は競合他社より群を抜いて高かった。国内需要のみでこれを実現できたことは、卓越したサービスをご提供するためにチームメンバーを大切にするという我々の戦略が成功したということだと考えます。

-今後の需要動向はいかがでしょうか。

ティラフェリ 米欧からの予約や問い合わせはますます増えており、また2025年の万博に向けた訪問団などのご宿泊も続いています。料飲部門も好調で、12月もすでに満席のご予約をいただいている日もあります。そして2023年はさらに好調で、予約率、単価ともに2019年を大幅に上回るペース。1桁ではなく2桁の増加です。

コンラッドペントハウススイートのベッドルーム

 これも、コロナ禍でも投資を続けてきた結果です。昨年はILTM、今年は米国の富裕層向け旅行業コンソーシアム「ヴァーチュオーゾ」のラスベガスでの総会に足を運びましたが、その結果そこで再会あるいは新たに知り合った多くの方々から直接予約のご連絡をいただけています。しかもその予約はスイートやペントハウスで4泊、5泊、7泊といった高単価のご利用がほとんどです。

 もともと大阪は米国のお客様が多くなかったわけですが現在は増えてきています。2019年には一定数を占めていた中国市場がほとんど動いていないにも関わらず、当時よりも良い実績を残せているのです。これから中国が戻ってくればさらに忙しくなるでしょう。

-力を入れている顧客層や流通戦略についてお聞かせください。

ティラフェリ 我々のホテルはレジャーのご利用が中心で、法人契約もあるものの企業のオーナーや役員といった方々のみのため、ヴァーチュオーゾのようなコンソーシアムに力を入れています。このほかAmerican ExpressやVisa、クルーズ会社などにも頼っています。クルーズについては、来年に運航が再開されればまた多くのハイエンドのお客様をお迎えできると期待しています。

 顧客層はファミリーやカップルなど幅広く。世代も全世代ですが、30代から50、60代くらいの成功された裕福なお客様が多くなっています。

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