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BA、羽田線の運航を再開、井上支社長「ポストコロナでの新たなスタート」

 セミナーに先立ち、トラベルビジョンではBA日本支社長の井上さつき氏にインタビューを行い、日本市場の今後の展望を聞いた。

井上氏

-はじめに、再開した羽田線への期待をお聞かせください。

井上さつき氏(以下敬称略) この3年間、日本からのお客様は海外に行きづらく、渡航制限で行くこともできない時期が続きました。また海外からのお客様も長い間日本に入ってくることができませんでした。「再開」という言葉を使っていますが、私たちはポストコロナの環境での新しいスタートと捉えています。その意味で、非常に高まる気持ちとともに、身の引き締まる思いを持っています。

-ヒースロー空港では旅客数を制限するなど、回復した旅行需要によって一時的に混乱が生じていましたが、現在の状況はいかがでしょうか。

井上 日本/ヨーロッパ路線にはウクライナ問題があり、ロシア上空を飛行できないという規制に加えて、近年は気候変動による天候の影響も大きく、色々な意味で多難でチャレンジングな状況であると考えています。ヒースロー空港も他の大規模空港と同様、イレギュラーな対応を求められる時期が長き、様々な調整があると思っています。BAもヒースロー空港を使う航空会社として、それを受け入れながら運航していますが、基本的には10月頃から旅客数の制限は終了していると認識しています。

-欧州内や日本以外の長距離路線の需要の動向をお聞かせください。

井上 アジアの一部の国々は厳しい規制が長く続いていたため日本も含め需要の回復はこれからですが、昨年の夏頃から、英国を中心とするヨーロッパ、中東、アフリカ、インド、南米、また規制緩和後はアメリカ路線も回復してきています。英国を中心に、欧州内をはじめとする多くのフライトで需要は好調に運航しています。

-円安や燃油サーチャージの高騰、ウクライナ問題など、特にヨーロッパ路線にとっては厳しい状況が続いていますが、今後の日本市場の見通しや目標は。

井上 コロナ禍もまだ終わったわけではなく、外的要因や不確定要素があまりに大きいのではっきりとは言えませんが、希望としては2023年の夏以降、ビジネスもレジャーも含め、徐々にニューノーマルの形での人々の動きが安定し始めることを期待しています。2023年から24年にかけて、足元の環境が整ってくるのではないかと思います。そのなかでBAとしても日本路線の回復を目指していきたいと考えています。

-旅行会社とのパートナーシップについての考えをお聞かせください。

井上 一気に物事が変わるとは思いませんが、コロナ以前と同じ市場環境ではありません。今後どのような形で需要や旅行のあり方が落ち着くかによって、私たちが何を提供するかも変わってくるのではないかと感じています。

 とはいえ、日本では観光旅行も業務渡航も旅行会社が中心となり動いています。個人の方が自力で旅行をするというケースも増えてきたものの、まだ少ないと思います。引き続き旅行会社の皆さんのご意見も伺いながら、新しい環境に合った提案をしていきたいと思っています。

 観光産業を取り巻く状況はこれまでにも、リーマンショックやSARSなど様々な外的要因で変わってきました。振り返ると、時代とともにパートナーシップも形を変えてきています。働き方という意味ではこれから変わっていくこともあると思いますが、パートナーシップという意味においては変わらないと考えています。

-ありがとうございました。