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着地型旅行商品のエキスパートとして「観光客までつくる」-フィールドデザイン林光太朗氏

  • 2022年10月21日

 着地型旅行商品の開発が全国で進み、商品のプロモーションや企画開発のコンサルを手掛ける企業も少なくない。しかし集客まで視野に入れた商品作り全体の取り組みをワンストップで提供できる企業は多くない。そんな企業の1つで「観光客までつくる」を企業理念に掲げるのが長野市に本拠を構えるフィールドデザインだ。同社の林光太朗副社長に話を聞いた。(聞き手:弊社常務取締役 藤原久記)

林氏。インタビューはオンラインで実施した

-はじめにこれまでの仕事歴を教えてください。

林光太朗氏(以下敬称略) 長野県の信濃町出身ですが、若い頃の自分には湖と山しかない田舎の町という印象で、早く地元を出たく、名古屋にある三重交通グループの観光販売システムズに就職しました。その頃は2004年の熊野古道の世界遺産登録もあって県内のコンテンツの充実が急がれており、私は地域コンテンツの開発を担当。まだ「着地型」という概念が普及する前の時代でしたが、いわゆる着地型旅行商品の企画と大手旅行会社へのセールスが仕事でした。

 その後、伊勢志摩の現地商品開発を経て、諸事情で長野県に帰ることになったのですが、せっかくなので地元でも観光を盛り上げる仕事がしたいと考えていたところ、前職の観光販売システムズが2011年に長野営業所を開設し営業所長に任命してくれ、長野県と、北陸新幹線の延伸を控えて観光拡大への期待が高まっていた富山県の商品開発に当たりました。

 地域の商品開発やプロモーションには、ホームページや映像素材の制作などが不可欠なため、2015年にその道の専門家だった現在の社長に働きかけて長野営業所内にフィールドデザインを設立。連携して商品開発及びセールス、プロモーションなどの一連のプロジェクトを進めてきました。その後2020年に私自身もフィールドデザインに転籍しましたが、現在も観光販売システムズの観光アドバイザーという肩書もいただいています。このほか観光庁からは「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の専門家と、昨年度の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業」のワークショップ講師という役割や、富山県の「とやま観光塾」の講師も長年務めています。

-フィールドデザインの事業内容を説明してください。
ウェブサイト・映像・ツアー造成などを担当した「ウラソラテラス」

 観光分野に特化した企画制作会社で、ウェブページの制作、グラフィックデザイン、映像制作、写真撮影、ライティング(記事作成)、ツアー造成などを行っています。従来はモノ作りがメインでしたが、昨年、旅行業登録を取得し旅行会社として主に着地型旅行商品の企画・造成・販売も手掛けるようになりました。また行政や自治体からの商品開発関連の請負事業や、スキー場など大型観光施設、大手旅行会社などから仕事を依頼されることも増えました。直近の実績では着地型旅行商品の造成やコンサル関連の仕事もいただけるようになっています。

-観光に特化している理由は。

 社長の宮下はウェブページの制作などが得意分野で、私は観光が得意分野でした。会社設立の際に「お互いの強みを生かした会社にしよう」ということで一致し観光分野に絞り込みました。

-フィールドデザインの強みは何ですか。
フィールドデザインのスタジオ

 仕事を社内で一元化して受注できる点です。小さな会社ですが、プログラマー、デザイナー、ビデオグラファー、スチールカメラマン、ライター、ウェブマーケッター(SEOなどを担当)、ツアープランナーがいて、撮影やイベントに使えるスタジオも持っています。すべてを内製化しているのでクライアントの要望を実現しやすい環境を提供できます。旅行会社にいた頃の経験で、映像制作、ホームページ制作、写真撮影を全部バラバラに発注する煩わしさを知っていたので、すべてを1社に発注できる会社があれば強みになると考えていました。

-システム構築も手掛けていますね。

 着地型商品の販売に特化した「フィールドデザインシステム」という予約システムは手掛けており、それも強みです。

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