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星野リゾートがハイアット大阪内にリゾナーレ、供給過多対策の一手-全国旅行支援やOMOエアポートホテルも、秋発表会

  • 2022年10月12日

コロナ3年間を総括、都市周辺観光地は2年目から復活、沖縄は苦戦

代表の星野佳路氏

 発表会では、星野氏がコロナ後3年間の星野リゾートのデータをもとに観光業界を総括した。星野リゾート全体としては「コロナ第3波、第4波のあたりから観光需要がコロナに関係なく安定しており、ここ1年は普段と変わらない予約状況で推移してきた」と説明。各宿泊施設を「都市」「飛行機で行く観光地」「都市周辺の観光地」「温泉地」の4項目に分類し、それぞれの市場について解説した。

 都市については東京、大坂、京都を挙げ「(需要を押し上げていた)訪日客が戻らない限り需要は戻せない」と断言。さらに大阪のようにコロナ禍中も新規ホテルが次々開業し、宿泊供給過多になった都市は今後も厳しい状況が続くとの見通しを示した。ただし「そういうときにこそ新しい発想やイノベーション、コンセプトの異なるホテルの誕生などが起こる」と語り、その一例が今回発表したコラボレーションホテルである旨を説明。「オーバーサプライとオーバーデマンドを繰り返しつつホテルは成長してきた。期待をもって見守っていきたい」と話した。

2020年3月から2022年9月までの国内施設予約状況推移

 飛行機で行く観光地については、北海道はマイクロツーリズムの効果が出ており、2022年1月14日に開業した「界 ポロト」は好調に推移。一方、マイクロツーリズム効果がほぼなく、夏の繁忙期にコロナ感染者数が多かった沖縄については「一番傷んだ」と振り返るなど、場所により差が生まれたことを説明した。都市周辺観光地についてはコロナ2年目以降はほぼ問題なく推移しており「稼働も戻り単価も上がる良い状態」。温泉地についても同様という。

 宿泊単価が上がった理由として、星野氏は海外旅行需要が国内旅行需要に流れたためとの持論を展開。「肌感覚では2019年のインバウンド市場よりも大きい、5兆円から6兆円くらいがあったのでは」と語った。その上で今後の見通しについて、国内旅行需要の回復で宿泊単価が下がる見通しもあるものの、円安のためインバウンドが増え、アウトバウンドの戻りが鈍化するとの予測を語り、「2023年、24年全体の観光は悪くないのでは。大きなチャンスがやってきていると思う」と期待を示した。

全国旅行支援は一定の評価、都道府県ごとの対応差に苦言

全国旅行支援専用の予約サイト(イメージ)

 星野氏は10月11日から開始した「全国旅行支援」についても言及した。同氏は平日と休日で割引上限額に差をつけたことや、超繁忙期を支援の対象外にしたこと、交通付旅行商品の割引額を宿泊のみよりも高くしたことに触れ、「以前から私が主張してきた需要の平準化に踏み込んだ制度設計」と評価した。その一方で、各都道府県がそれぞれ制度設計をしたことで、内容が不統一である点について「複雑な設計になったのが残念」と苦言を呈した。

 星野リゾートでは現在、全国旅行支援の適用条件が比較検索できる予約専用サイトを立ち上げており、各施設の予約を順次開始ししているところ。販売対象期間は一部の例外を除き10月25日からで、航空券付きプランも販売する。なお、10月12日時点ではまだ予約の状況に影響は出ていないという。

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