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ファストリなど3社のBTM成功事例を紹介-出張経費の最適化とは

東洋経済新報社とコンカーがセミナー共催
中外製薬、ヨネックスからも担当者登壇

ヨネックス、BTMでは「参画者の意識のすり合わせ」を重視

高柳氏  ヨネックス情報システム部情報処理課長兼システム開発課長の高柳卓士氏(高ははしご高)は、同社がコンカーエクスペンス、コンカーインボイス、コンカートラベルの3つを6ヶ月で一括導入した「ビッグバン導入における、社内の体制作りなどについて説明。「経理・総務・情報システム部の協力、将来のための若手の参画、第三者的視点によるプロジェクト管理に注力した」と話した。

 その上で、重視したこととして「参画者の意識のすり合わせ」を挙げ、「ブレない軸」を定義するために、旅費やコーポレートカードなどの規定の改定を優先的に実施したことを説明。そのほか、プロジェクトメンバー間の雰囲気作りのために、打ち合わせ場所の選定を工夫したり、カットオーバー後の打ち上げの楽しいイメージを共有することなどにも努めたりしたことを語った。その結果、「困難をともに乗り切ったメンバー間では一体感が生まれ、運用フェーズでのトラブル発生時にもその効果が発揮された」という。

 また、運用設計においては「利用者目線」「全体的に見て大切なこと」を念頭に置いてプロジェクトを進めたほか、ベンダー各社から最善の提案を得られるように関係性の構築にも注意を払ったという。

コンプライアンス、ガバナンス、リスクに関する議論を

冨田氏  各社がコンカーのシステムを導入した時期は、ファーストリテイリングが18年9月、中外製薬が19年1月、ヨネックスが同11月。それぞれ海外出張者数が年間数千人に上る大企業だが、コンカー事業開発本部トラベル事業推進室室長の冨田千恵氏は「コンカートラベルは年間出張者数250名程度の企業にも使われている」と現況を紹介した。導入にあたっては「コンプライアンス(規則の明確化)」「ガバナンス(管理実行体制の確立)」「リスク(目標達成の変動要因)」に関する、社内での議論が重要との考えを示した。

田北氏の講演の様子  なお、この日はセミナーに先立ち、東洋経済新報社常務取締役の田北浩章氏が基調講演を実施し、20年のグローバル経済を展望。3つの重要キーワードとして「米国大統領選挙」「不透明なドイツ経済」「高齢化が進む日本を」挙げ、このうち日本については42年に高齢化がピークを迎えると予想されていることを説明した上で、「来年からは勝負の10年間になる。社会保障負担が増大していくなか、42年までの20年間の最初の10年間で、どれだけ財政をスリム化していくかが注目される」との見解を示した。