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HIS、JATA正会員から「協力会員」に変更、活動から距離

 日本旅行業協会(JATA)によると、1986年からJATAの正会員であったエイチ・アイ・エス(HIS)が4月1日付で会員種別を「協力会員」に変更した。JATAに入会している大手リアルエージェントはいずれも正会員で、弁済業務保証金分担金をJATAに納付し、各委員会の活動に代表委員を出しているが、今後は「情報入手を目的とした旅行業者」としてのみ参加し、各委員会には参加しないこととなる。

 HIS広報担当によれば、協力会員への変更の理由は「JATAは日本での旅行事業に関する事業に重きを置いているが、HISでは海外における旅行事業も拡大しており、今後は軸足を国内発だけではなくグローバルに置いて旅行事業を加速させたい」とのこと。ただし、退会はせず協力会員として活動は続け、状況によっては正会員に戻る可能性もゼロではないという。なお、クオリタやHIS沖縄などのグループ会社については、いずれも会員種別を正会員から変更していない。

 なお、同社はこれまでJATAの弁済業務保証金制度に則り、分担金として6000万円を納付していたが、今後は法務省に営業保証金として5倍の3億円を供託する。なお、JATAは消費者保護の観点については「HISの保証社員としての地位は喪失するが、今後は営業保証金の供託により、これまでと同様の措置が取られるはず」とコメントしている。なお、JATAによればHISは昨年度の会費として、固定費と社員数などに応じた「特別会費」を合わせて358万円超を支払っていたが、今年度の会費は50分の1以下の7万円となるという。

 JATA広報担当は、今回のHISの動きに対して「理由については把握している。旅行業界の健全な発展に向けて、今後も一緒に取り組むことに変わりはない」と述べた。なお、HISは今後はJATAの各委員会に参加しないこととなるが、JATAが主導し旅行会社や航空会社、大使館・政府観光局など幅広いメンバーで構成するアウトバウンド促進協議会については引き続き参加し、代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏も委員を務める。

 なお、JATAとHISを巡ってはこれまでにも、2017年1月のアウトバウンド促進協議会の設立発表時に委員に入っていなかった澤田氏が急遽、第1回会合の直前にメンバー入りしたり、昨年6月に発表されたJATAの新役員体制では、理事を務めていた澤田氏が退任したりするなどの動きが見られている。