技術革新の波に乗る-「他力活用」で「ビジネス4.0」実現を

  • 2018年7月5日

▽「インダストリー4.0=ビジネス4.0」、自前主義からの脱却を

TCS EVP兼CTOのアナンス・クリシュナン氏

 また、「インダストリー4.0への備え」をテーマにプレゼンテーションをしたTCS EVP兼CTOのアナンス・クリシュナン氏は産業革命について、例えば第1次の際に蒸気機関によって大量生産が可能になったように企業のビジネスモデルが変化するタイミングであると指摘し、現代の企業は「ビジネス4.0」をめざす必要があると説明。

 具体的には、インダストリー4.0においてはクラウドコンピューティングや人工知能(AI)、オートメーションなどが重要なテーマとなるが、ビジネス4.0では、それらの活用による大規模かつ精緻なパーソナライゼーションや、指数関数的な勢いでの価値の生成、リスクの許容などに焦点が当たるという。

 その上で、クリシュナン氏は経営層に向けたメッセージとして、事業領域を「顧客が求めているもので、社内ですでに提供できている既存のコア事業」、「顧客が求めているが今のところ提供しておらず、しかしビジネスモデルやプロダクトの刷新によって実現可能な事業」、「すでに顧客へ提供していて、多少の努力をすれば他の市場へ展開可能な事業」、「現時点では提供しておらず、潜在顧客も見えず、場合によっては既存事業と衝突し、実現のためには新しいビジネスモデルや体制が求められる事業」に分割し、このなかでどのように投資していくかを考えるべきと説明。

トラベルポート・チーフアーキテクトのマイク・クラウチャー氏

 そして、これらを効率的に実行するには、「考え、組み立て、運用する(Think-Build-Operate)」モデルから「仲立ちし、統合し、調整する(Broker-Integrate-Orchestrate)」モデルへの変化が必要となるといい、それこそが提携先の企業や研究機関、スタートアップなどを巻き込んだエコシステムの活用であって、トラベルポートを中心とするエコシステムが旅行会社や航空会社にとって有益であるとアピールした。

 なお、トラベルポートのエコシステムでは、例えばIBMとは、ホテルなどに向けてブロックチェーンを活用した流通の仕組みを構築中であるほか、企業向けの出張管理ツールも用意。マイクロソフトとは拡張現実(AR)関連サービスや、Outlookのカレンダーなどとシームレスに連動する旅行手配ツールを開発しているところ。

 今後のエコシステムの拡張予定についてクラウチャー氏は、まずは提携先の追加よりも顧客の獲得が先に来るとの考えだ。