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2011年の海外旅行動向、男性に戻しの余地、団塊効果も徐々に−JTBF

  • 2010年12月24日
 財団法人日本交通公社(JTBF)主任研究員の黒須宏志氏は、2011年の海外旅行者数を2010年着地予想値より4.2%増える1730万人と予測した。2010年は夏期に1690万人と上方改定したものの、前年比7.5%増の1660万人と昨年末の予想通りの着地を想定している。

 黒須氏は海外旅行市場について「レジャー、業務渡航ともに伸びしろがある」と説明。特に性年代別では、出国率がリーマンショック後のレベル以上に回復した女性に対し、男性は子どもと70歳以上を除いて下回ったままで「戻しの余地がある」という。さらに、20代女性が牽引する若年層のマイナスがストップしていることや、余暇時間が増える団塊世代が旅行への支出を増やす意向が高いことから、シニア層の増加も下支えになる要素と分析する。

 座席供給量の面でも、羽田と成田の拡張効果で2011年第1四半期には6.1%増。第2四半期は4.5%増と増加傾向となり、「羽田中心に新規の需要が出てくるだろう」とする。ただし、第3四半期は1.7%に伸び悩み、第4四半期には羽田と成田の上積み効果がなくなるため、通年では3.2%増と予想。そのため「需要の力はあるが、供給量を考えると大きく伸びが考えられない。1730万人の予測は強気の数値であり、下回ってもおかしくない」と話す。ただし、供給量の見通しは半年先が限界であり、「羽田も中国を中心に拡大余地があり、第3四半期にも変化がありえる」と、可能性も添える。

 国内旅行市場については、2010年は延べ宿泊客数が右肩上がりに伸び、2010年9月には3億2000万人を上回った。しかし、黒須氏は「長い長い下り坂にあり、2010年はこれまでの減少分のリバウンド。一過性といっても過言でない」とし、延べ宿泊数は横ばい、または1%程度の微増と予測する。また、インバウンドについては2010年が26.7%増の860万人、2011年は15.1%増の990万人と予想している。

▽団塊効果はこれから

 黒須氏は、シニアの中でもボリュームを占める団塊世代について、「団塊リタイア効果はせいぜいまだ5分咲。まだ咲いていないのと同じ」という。団塊世代男性の就労状況の調査結果によると、2010年12月現在、完全リタイアした人は約3割で、約7割が何らかの形で就労。全体の約3割はフルタイム就労だ。

 これは団塊世代が年金の満額需給年齢の引き上げにあたり、働かざるを得なかったためで、「団塊世代が一斉にリタイアしていたわけではない」と説明。ただし、就団塊世代の手前の1945年から46年生まれ(64歳〜65歳)の完全リタイア率は48%、フルタイム就労は22%となっており、黒須氏は「団塊のリアイアは徐々に進んでおり、リタイアが進むことで彼らの遊び方が変わってくる。変化する余地が残っている」という。

 旅行に使う支出についても「やや増える」「かなり増える」とした人はあわせて37%で、成人人口全体よりも15ポイント高い。その理由として「時間的余裕が増えそう」とするのが82%とダントツだった。ただし、黒須氏は「時間を増やしてもリーズナブルに支出する傾向がある。長い期間の旅行が増えるよりも、4日間の旅行を5日間にしたり、1000円高速での1泊の旅行を、気が向いたらもう1泊延泊するといった変化が、目に見える形で来るだろう」と予測している。

 なお、現在の旅行市場動向や2011年の展望についての詳細は、後日掲載する。


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