日本でラッコに会える水族館は、三重県にある鳥羽水族館の1ヶ所のみです。もふもふの毛や前足を器用に使う人間味あふれる仕草で、人気を集めているラッコ。一度は生で見てみたいと思っている方も多いでしょう。
この記事では、ラッコに会える水族館の情報を詳しくお伝えします。さらに、あまり知られていないラッコの生態や、ラッコ好きの筆者が厳選するかわいい仕草についても紹介。水族館に行く前にチェックしておけば、より楽しいラッコとの思い出がつくれるはずです。
ラッコがいる水族館は日本に1ヶ所だけ
2025年4月現在、ラッコが見られる水族館は日本で1ヶ所だけです。ここでは、ラッコが見られる水族館である鳥羽水族館(三重県鳥羽市)の見どころやアクセス情報、周辺のホテルなどについて詳しくお伝えします。
【三重】「鳥羽水族館」のメイちゃんとキラちゃん
三重県鳥羽市にある鳥羽水族館では、アラスカラッコの「メイ」と「キラ」という2頭のラッコが暮らしています。鳥羽水族館は、ラッコ以外にも日本で唯一ジュゴンを飼育している水族館として有名です。
鳥羽水族館で会える2頭について、紹介します。
メイ(20歳)鳥羽水族館生まれ
2004年生まれ、最年長のメイの特徴や得意技は、以下のとおりです。
生年月日 | 2004年5月9日 |
性別 | メス |
見た目の特徴 | 顔や腕のまわりの毛が白いひげが短くそろっている鼻に白い傷がある |
得意技 | 「イカミミジャンプ」ガラスに張り付いたイカを水中からハイジャンプしてゲットする |
キラ(16歳)アドベンチャーワールド生まれ
和歌山県のアドベンチャーワールドで生まれたキラ。生年月日や見た目の特徴を、下記にまとめました。
生年月日 | 2008年4月21日 |
性別 | メス |
見た目の特徴 | 口のまわりの毛がやや黄色いひげが長い全体的に黒い |
得意技 | 「キャッチ&ポイ」飼育員さんが投げたおもちゃを前足でキャッチしてバケツの中に入れる |
鳥羽水族館を2倍楽しむ方法
ここでは、鳥羽水族館をより楽しむために事前に知っておきたい情報をお伝えします。
ラッコの芸が見られるお食事タイムを活用
ラッコの芸が見られる食事タイムは、1日3回です。
- 9:40~
- 13:00~
- 16:10~
40分ほどの食事タイムでは、貝などを食べる様子や、さまざまな芸を披露する様子を見学できます。
レストランで鳥羽水族館ならではのメニューを満喫
館内のレストラン「花さんご」では、メイちゃんをかたどったカレーライスを販売。11時〜14時30分のランチタイムのみ提供中のため、ぜひ時間を合わせて訪れてみてください。
ラッコ関連のお土産を購入
館内の複数のショップでは、ラッコのぬいぐるみやお菓子、マグカップ、Tシャツなどが購入できます。館内でしか手に入らない「ラッコメモリアルBOOK with 鳥羽水のラッコたち」には、鳥羽水族館で飼育されたラッコたちの写真が収められていますよ。
鳥羽水族館でのラッコの観覧方法
国内で見られるラッコが鳥羽水族館の2頭のみであることから、混雑が予想されるラッコプール周辺。来館者のスムーズな観覧のために、2025年3月17日より、ラッコの観覧方法が下記のように変更となる旨が発表されました。
- ラッコを見たい場合は、ラッコのいる「極地の海」コーナー入口から観覧列(待機列)に並ぶ
- 約10名ずつ、水槽前の観覧スペースに係員の案内で進む
- 観覧スペースでは1分間自由にラッコを見学できる
- 1分後に係員の誘導に従い水槽前から移動する
通常、観覧列への整列は16時30分に締め切られますが、開館時間延長時は締め切り時間も延長されるとのことです。ただし、当日の混雑状況によっては早めに締め切られることもあるようなので、ラッコが目当てで行く場合は、時間に余裕を持ってラッコプール周辺を訪れましょう。
参考:鳥羽水族館「2025年3月17日からラッコの観覧方法が変わります」
鳥羽水族館
【住所】三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
【電話番号】0599-25-2555(代表)
【アクセス】
<電車>
JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から徒歩10分
<車>
伊勢自動車道 伊勢ICから伊勢二見鳥羽ラインで約15分
<伊勢湾フェリー>
伊良湖のりば(愛知県田原市)から鳥羽のりばまで約55分→港から徒歩約3分
【営業時間】9:30~17:00(GW、夏休み期間などは9:00~17:30 ※詳しくは公式サイト参照)
※入館は閉館時間の1時間前まで
【休館日】年中無休
【料金】大人2,800円 / 小中学生1,600円 / 幼児(3歳以上)800円
※団体・障害者割引有り
【公式Webサイト】https://aquarium.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.youtube.com/user/TobasuiChannel
https://www.instagram.com/toba_aquarium.official
https://twitter.com/TOBA_AQUARIUM
鳥羽水族館周辺のおすすめの宿
ここからは、鳥羽水族館の周辺でおすすめの宿を紹介します。
鳥羽シーサイドホテル
伊勢湾が一望できる抜群のロケーション。榊原温泉「七栗の湯」を使用した3ヶ所の温浴施設が用意されており、至福のひとときを味わえます。年代を問わず楽しめる約50種類の和洋バイキングがあり、家族連れにもおすすめ。
鳥羽シーサイドホテル
【住所】三重県鳥羽市安楽島町1084
【電話番号】0599-25-8181
【アクセス】
<電車>
JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から無料シャトルバスで約10分
<車>
伊勢自動車道 伊勢ICより 伊勢二見鳥羽ラインで約10分
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00 / 10:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式Webサイト】https://www.tobaseasidehotel.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/tobaseaside
https://twitter.com/toba4kikaku
戸田家
1830年創業の歴史ある宿。13のお風呂と5つの無料貸切風呂が楽しめます。鳥羽駅から徒歩3分、鳥羽水族館から徒歩2分とアクセスも抜群ですよ。
戸田家
【住所】三重県鳥羽市鳥羽1丁目24-26
【電話番号】0599-26-5511
【アクセス】
<電車>
JR参宮線または近鉄鳥羽線 鳥羽駅から徒歩約3分(無料送迎あり)
<車>
伊勢自動車道 伊勢ICより伊勢二見鳥羽ラインで約15分
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00 / 10:00
【予約方法】電話、公式サイトからのオンライン予約
【公式Webサイト】https://www.todaya.co.jp/
【SNSアカウント】
https://www.instagram.com/todaya_toba
水族館に行く前に知りたい!ラッコの生態とは
「そもそもラッコって、どんな動物なの?」と、疑問を持つ方もいるでしょう。ラッコの基本情報は、以下のとおりです。
分類:食肉目イタチ科カワウソ亜科ラッコ属
生息地:北太平洋の沿岸
体長:100~140cm
体重:20~40kg
寿命:15~20年
ここでは、ラッコの主な特徴を3つ紹介します。水族館に行く前に、ラッコの生態についてのポイントを押さえておきましょう!
特徴1.イタチやカワウソの仲間
ラッコの生物学上の分類は、「食肉目イタチ科カワウソ亜科ラッコ属」です。カワウソは英語で「otter」、ラッコは「sea otter」と呼ばれる点からもわかるように、ラッコはカワウソの仲間にあたります。進化の過程で、カワウソは川などの淡水に、ラッコは海に適応していきました。
特徴2.寒い地域に暮らし魚介類を食べる
日本の水族館で暮らしているラッコたちは、「アラスカラッコ」と呼ばれる種類に属します。アラスカラッコの生息地は、北太平洋の寒い海。水温4〜10℃の冷たい海で暮らしています。
食べ物は、貝やウニ、カニ、エビ、タコなど。冷たい海の中で生き抜くために、1日に体重の20〜30%ほどのエサを食べて体温を維持しています。皮下脂肪が少ないラッコにとって、食事量を確保して体温を維持することは欠かせません。
特徴3.寿命は15~20年ほど
野生のラッコの寿命は15年程度、飼育環境下では20年程度です。飼育されているラッコは食事が安定的に確保できることもあり、長生きの傾向にあります。鳥羽水族館で暮らすメイの母ラッコ「ポテト」は、25歳まで生きました。
水族館で見たい!ラッコのかわいすぎるポイント4選
ラッコといえば、水にぷかぷか浮かんでいる姿が印象的ですよね。しかしラッコの魅力はそれだけではありません。あまり知られていない、かわいいポイントがいくつかあります。
そこでここでは、ほかの動物にはないラッコ独自の特徴や愛らしい仕草を4つ紹介します。水族館に行った際は、ぜひここで紹介するポイントを意識して見学してみてください。
哺乳類トップクラス!もふもふの毛
ラッコは哺乳類の中でもトップクラスに毛量の多い動物です。ラッコの体には、1平方cmあたり10万〜14万本の毛が生えています。1頭のラッコの毛量は、人間でいうと8,000人分の髪の量に相当するといわれています。
さらに、1本の長い毛の根元に柔らかなアンダーファーが12〜108本ほど生えていることで、ふわふわの状態がつくられているのです。陸場で寝ているときは、毛のもふもふ感がよくわかりますよ。
毛を整える仕草がかわいい!毛づくろい
ラッコは1日の多くの時間を毛づくろいに費やします。全身の毛を前足でさすったり口や鼻から空気を送ったりして、毛並みをふわふわに整えます。
これは、冷たい水が皮ふに直接触れないよう毛の中に空気の層をつくるのが目的で、皮下脂肪の少ないラッコの体温を維持するためには欠かせない習慣です。頭から顔まわり、しっぽの先までくまなく毛づくろいをするために体を丸めたりねじったりする姿には、思わず顔がほころんでしまう愛らしさを感じます。
立って歩ける後ろ足と器用につかめる前足
ラッコの後ろ足は指の間に水かきがあり、魚のヒレのような形をしています。水中ではこの後ろ足にてスイスイ進みますが、陸上では二本足を使って歩くこともできます。ヒレのような後ろ足でちょこちょこ歩く姿は愛らしく、一度見たらとりこになる人も多いでしょう。
前足はやや短めではあるものの、物をつかんだり貝を割ったりと、器用に使えます。アシカやアザラシと違って、飼育されているラッコは人から食べ物やおもちゃをもらうときに、口ではなく前足で受け取ります。前足で物を受けとったり渡したり、どこか人間味がある仕草も、ラッコの魅力のひとつです。
実は賢い芸達者
石を使って貝を割るなど、道具を器用に使えることからもわかるように、ラッコは頭の良い生き物です。前足で貝殻やおもちゃを脇腹のポケットに集めたあと、陸上にあるバケツの中に片づけたり、三角コーンを持ったままクルクルまわったり。水族館では、芸達者な姿が見られますよ。目の前で彼らの芸を見たら「そんなこともできるの?」と驚いてしまうことでしょう。
ラッコが水族館から減ってしまった理由
2025年4月現在、日本で飼育されているラッコは2頭ですが、以前は日本の水族館に122頭ものラッコが暮らしていました。ここでは、ラッコブームの経緯や、絶滅の危機に瀕している状況について解説します。
第一次ラッコブーム時は全国に122頭
日本の水族館で初めてラッコが飼育されたのは1982年。静岡県の伊豆・三津シーパラダイスにアメリカからオスのラッコ「ウィリー」がやって来たのが始まりです。1984年には、鳥羽水族館に初めての赤ちゃんも誕生。ラッコ人気の高まりとともに、日本各地の水族館や動物園でラッコが展示されるようになりました。
最盛期の1994年には全国28の施設で122頭のラッコが飼育されましたが、海外からの輸入が途絶え、国内での繁殖も次第にうまくいかなくなり、頭数は減少していきました。
国際取引の規制と飼育下での繁殖の難しさ
ラッコが減少し始めた要因のひとつは、毛皮目的の乱獲です。もともとアラスカの先住民が愛用していた断熱性の高いラッコの毛皮が世界で注目されだすと、高値で取り引きされるようになり、数万頭から約2,000頭まで減少したといわれています。
1911年には商業目的の狩猟が規制され、1975年には国際取引が制限されました。しかしその後、アラスカ沖でタンカーが座礁し、原油が海に流出する事故が発生。3,000頭ほどのラッコが命を落としてしまいました。こうした背景もあり、2000年には国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されたのです。
海外から輸入できない状況となり国内での繁殖だけが存続の手段となったものの、ストレスに弱いラッコにとって、繁殖のために水族館を移動させるのは簡単なことではありません。また、飼育環境下のオスは消極的で繁殖しにくい問題もあり、頭数は徐々に減少していきました。
タンカー事故に限らず、人間の生活排水によって海が汚染され、ラッコが命を落とすことも確認されています。ラッコや海の生き物を守るためにも、環境を悪化させないよう意識したいですね。
現在国内にいるラッコは2頭とも高齢。2025年の1月には、福岡市にある「マリンワールド海の中道」で暮らしていたラッコのリロくんが亡くなったという、悲しいニュースも報じられました。海外取り引きができないことを考えると、日本の水族館でラッコが見られるのはあとわずかかもしれません。
北海道には野生のラッコの姿も
北海道東部の霧多布岬(正式名称は湯沸岬)では、2016年ごろから野生のラッコがぷかぷかと浮かんでいる姿が見られるようになりました。ここで見られるのは、現在水族館で暮らすアラスカラッコとは異なる「チシマラッコ」です。
2018年以降は赤ちゃんの誕生も確認され、繁殖の傾向が見られているのだそう。しかし、野生ラッコを一目見ようと訪れる観光客の中には、マナー違反の行動をする人も現れており、ラッコの定着が懸念されています。見守りを続けるNPO法人「エトピリカ基金」では、訪れる人に次の点を呼びかけています。
- 遊歩道から出ない
- ドローンを飛ばさない
- 船で接近しない
ラッコがこの先も住み続けられるよう、見学する際は細心の注意を払いましょう。
かわいいラッコに会いに水族館へ行こう
日本の水族館でラッコに会えるのは、三重県の鳥羽水族館1ヶ所のみです。ぷかぷかと水に浮かぶ姿や全身を毛づくろいする仕草、二本足で歩いたりおもちゃを前足でキャッチしたりする様子に、心癒やされること間違いなしでしょう。
残念ながら、日本の水族館でラッコが見られるのはあとわずかかもしれません。かわいいラッコに会いに、水族館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。