ハワイの自然や文化に思いやりの心を-「マラマハワイ」プログラムを体験

  • 2022年7月22日

SDGsに取り組んでいるビショップミュージアムへ

 ホノルルに戻り、ビショップミュージアムへ向かった。ここでは、ハワイアンホールツアー、固有植物ガーデンツアー、そしてパーレイ・エアーステーションツアーの3つのグループに分かれてビショップの敷地内を視察した。ビショップミュージアムの中には数々の固有種が植えられていて、例えば「Naupaka kai(ナウパカ カイ)」「 Ma’o(マオ)」と呼ばれるハワイのコットンUlu(ウル)の木などを紹介してくれた。

ビショップミュージアムでは、3つのグループに分かれツアーがおこなわれた

 敷地の大きな芝生の上に設置されたパーレイ・エアーステーションでは、NPO団体サスティナブルコーストラインズハワイの来迎秀紀(きむかい ひでき)氏が活動内容を説明をしてくれた。同NPO団体とパーレイ・エアーステーションは、パートナーシップを結んでお互いに活動を展開している。ビショップミュージアムで週2回(コロナ禍は一旦閉鎖)開催しているエアーステーションと呼ばれる次世代に向けた海洋汚染の教育についての取り組みを説明してくれた。

 海岸清掃プロジェクトは、ビーチでの非生分解性の廃棄物を取り除く活動を通して、人間が及ぼす環境破壊の現状を理解してもらうもので、今では、このサスティナブルコーストラインズでは1500名を超えるボランティアが参加した海岸清掃をおこなっている。また、海だけでなく、先日はホノルルにあるカイムキの街でも清掃活動をおこなったという。

海で拾われたマイクロチップのゴミ

 ゴミが増えると燃やすためCO2が排出されることになるため、ゴミそのものをなくすことについて学んだりしており、その教育活動は地域の全ての分野に広がり、海洋汚染の課題解決に向けた教育プレゼンテーションを学校、企業、公共団体、政府、地域社会に提供している。尚、日本語でのツアーも実施している。

 ビショップミュージアム代表のジャネット・ブラーム氏は、「ハワイでは2019年にサスティナビリティのフイ(集まり)が作られ、2021年7月にはスタッフを教育したり、寄付などを募りインフラも整え、長期的なゴールも設定した」と述べ、SDGsに真摯に取り組みハワイの環境保全に注力していることを説明した。

ビショップミュージアムの中でのレクチャー。ハワイアンの歴史について学べる

ハワイのNPO団体の活動を紹介

 また、ファムツアーでは現地のNPO団体によるトレードショーが開催された。約10団体がこれからハワイ来る観光客にも知ってもらいたいと自分たちの活動を紹介していた。例えば、「OISC」という団体は新しい外来害虫の発生を防ぎ、公有地の初期の害虫を防除したりしている。「Hawaii Wildlife Centre(ハワイ・ワイルドライフ・センター)」は生物多様性の保全を支援するために、救助、最先端の獣医ケア、野生生物のリハビリテーションに関する専門知識を提供している団体だ。

 そのほか「Wildlife foundation(ワイルドライフ・ファウンデイション)」は、州全体の在来の鳥やコウモリに緊急対応、医療、リハビリテーションケアを提供するとともに、在来の野生生物が繁栄するコミュニティを作ることを目的とした保護プログラムを提供している。

多くのNPO団体がSDGsを考えたワークショップを実施

 ファムツアーを体験して感じたことは、「マラマ(思いやりの心)」を持って、ハワイの伝統や文化を受け入れるということ。また美しいハワイの海や山をどのように持続可能なものとして、次世代にも繋げられるかというところに焦点を置いて、多くのNPO団体が活動をしていることであった。コロナ禍に観光客が減少し、海の透明度が増したとニュースで報道されていたが、今後、アメリカ本土のみならず、日本からの観光客も増加が予想されるなか、どのようにこの美しいハワイの自然を守っていくのかが大きな鍵となりそうだ。

取材協力:ハワイ州観光局