バンヤンツリー創設者が語る日本進出の理由「真の日本がある地方にこそビジネスチャンス」

  • 2022年7月7日

制限解除後のリベンジ消費に期待
持続可能な地域コミュニティづくりにも注力

 バンヤンツリー・グループは2022年6月17日に、京都市内に「ダーワ・悠洛(ゆら) 京都」と「ギャリア・二条城 京都」をグランドオープンした。同グループとして日本初進出となる。このほかにも、フラッグシップブランドの「バンヤンツリー」を東山・京都と芦ノ湖・箱根に開業する予定だ。日本でのビジネスを拡大する同グループの戦略を新ホテルのオープンに合わせて来日したバンヤンツリー・ホールディングス会長のホー・クウォンピン氏と夫人で共同創設者シニア・バイスプレジデントのクレア・チャン氏に話を聞いた。

バンヤンツリー・ホールディングス会長のホー・クウォンピン氏(右)と夫人で共同創設者シニア・バイスプレジデントのクレア・チャン氏(左)
-「ダーワ・悠洛 京都」と「ギャリア・二条城 京都」を開業し、日本初進出を果たされました。所感をお聞かせください。
「ギャリア・二条城 京都」の客室

ホー・クウォンピン氏(以下敬称略) 両ホテルを開業することができ、非常に嬉しく思っています。バンヤンツリーは世界では広く認められているブランドです。遅かれ早かれ、日本でも展開できることを願っていました。ダーワとギャリアは数年前にローンチされた新しいブランドになります。現在それぞれ3軒を開業しており、42軒の開発計画も進んでいます。ここまで成功するとは思っていませんでした。この新しいライフスタイルブランドは、完璧に日本市場にもマッチするものだと考えています。

 このほかにも、フラグシップブランドである「バンヤンツリー・東山 京都」を2024年春に、「バンヤンツリー・芦ノ湖 箱根」を2026年に開業する予定です。また、2025年には50室のリゾートホテルと113室のレジデンスからなる「カッシーア・比羅夫(ヒラフ)ニセコ」を開業する計画です。

クレア・チャン氏(以下敬称略) 私も同じく非常に嬉しく思っています。日本はアジアでもナンバーワンのデスティネーション。個人的にも、日本の食、気候、文化、遺産は大好きです。ギャリアは、その日本文化を反映するものです。また、ギャリアはウェルビーイングルームを備え、ダーワには「8LEMENTS SPA (エレメンツ スパ)」も世界で初めて開業するなど、新しいサービスも展開していきます。

ホー 東南アジアや東アジアの旅行者にとって、日本は非常に重要なマーケット。日本文化に対して強い憧れがあります。伝統文化だけてなく、漫画やアニメなど現代のソフトパワー、食など、日本はクールな旅先と考えられています。そのなかで、ダーワやギャリアなどのライフスタイルブランドの展開を先行させました。私たちのメインマーケットであるアジアの旅行者は常に日本を見ています。

-バンヤンツリー・グルーブは28年の歴史があり、現在10ブランド61ホテルを15カ国で展開しています。このタイミングでの日本初進出にはどのような背景があるのでしょうか。
「ダーワ・悠洛(ゆら) 京都」の新たなスパブランド「8LEMENTS SPA(エレメンツ スパ)」

ホー 日本は過去、外資系ホテルをあまり積極的に誘致してこなかった気がします。島国のためか保守的で、ビジネスでもユニークなところがあります。その個性のために、世界の旅行者は日本に行きたがるのですが。しかし、数年前から日本政府は観光政策を強化し、インバウンド旅行者の受け入れを積極的に進めてきました。それに合わせて、私たちも日本に進出したいと考えていました。

 大部分の外資系ホテルは、東京を中心に大都市での都市型ホテルを展開してきました。一方、日本政府は数年前から、訪日旅行者の地方への誘客を強化しています。私は、地方にこそ「真の日本の美がある」と思っていますが、地方には少子高齢化や若者の都市への流出という問題を抱え、経済活性化という課題があります。最も日本で美しい村々は死活問題に直面しています。バンヤンツリーは、その地方に進出することで、雇用や経済活性化でその課題解決にも貢献できると考えています。

チャン タイミングに加えて、日本でウェルス・マネジメントグループという素晴らしいパートナーと出会えたことも大きいと思います。彼らとは同じ方向性を向いており、それぞれの地方の伝統や生活様式を尊重しながら、それをビジネスに結びつけていくことを大切するという考え方を共有しています。