HIS、中間期は過去最大の純損失269億円も、「いい兆候たくさん」

  • 2022年6月13日

「旅、再始動。」、安心感などで差別化目指す

今年3月1日付けで代表取締役社長に就任した矢田素史氏(左から2人目)。経営改革のほか、中長期で旅行と非旅行の事業で利益の比率を1対1とするべく事業ポートフォリオの再構築に取り組み、さらにグループガバナンスの強化も進めている

 旅行事業の回復シナリオとしては、国内旅行は今年度下期には2019年水準に戻し、2024年度には2019年度の3倍へと大きく成長させたい考え。一方、海外旅行は燃油高や円安により予測しづらい状況とし、訪日が最後に戻ると見ている。

 需要喚起策では、「旅、再始動。今こそ国内へ、今年こそ海外へ」をタグラインとしたキャンペーンを展開しているほか「SUPER SUMMER SALE」も実施中。国内旅行ではアニメ「進撃の巨人」とのコラボ企画で北海道と沖縄の販売を強化しているほか、沖縄では「LeaLeaトロリー」や「LeaLeaラウンジ」、3つから選べるオプショナルツアーなどの特典で差別化を図っている。

 また、海外旅行では出発と帰国の際に求められるPCR検査の事前手配や滞在中に感染した際の現地スタッフによるサポート、最新の渡航情報の確実な提供などの9つのサービスで安心・安全を打ち出す「RE:TRAVEL SUPPORT」も開始。「旅行代理店から、トラベルパートナーへ」の転換を目指す。ちなみに安心感については、国内のダイナミックパッケージでもキャンセルサポート保険を無料で提供している。

 海外旅行事業の売上高は、2019年度が4197億円だったところから2021年度には49億円まで減少したが、今年度は500億円、2023年度は2100億円、2024年度は3500億円へと引き上げていきたい考え。

 このほか、ホテル事業では清掃やリネン、客室備品、広告などの費用について適宜削減を徹底。新規開業では、3月にウズベキスタンのタシケントで140室の4ツ星ホテルの営業を開始したほか、国内では8月に宮古島、12月に名古屋と鹿児島でも開業を予定している。

 なお、通期の業績予想は現時点ではコロナ禍の影響を合理的に算定できないとして公表を見送ったが、代表取締役社長の矢田素史氏は「いい兆候がたくさん見えている。底は脱したと思っている」と語り、澤田氏と同様、反転攻勢に期待を語った。