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「旅行を売りたければ旅行以外を売る」安定収益を目指すこれからの旅行会社とは―シティツアーズ代表取締役 日比幹氏

  • 2022年4月5日

多角化戦略が支える経営と雇用
業界全体で旅行業を儲かる産業に

-コールセンター業務は入札案件ですか。

日比 入札です。自治体の案件はほぼ入札です。最初に受注できたのは、もう運でしたね。一口に入札と言っても、指名入札は指名されないと入札に参加できませんし、プロポーザル入札は提案型なので企画力・提案力・実績が必要になります。

 始まりは、当社の営業マンが「ビジネスサポート事業」というチラシ1枚で取ってきた話です。新型コロナウイルスが流行する前から部分的には旅行業の将来に対してネガティブでした。それで、当社が持っているリソースをなんとか生かそうと必死になる中で、自治体に営業をかけ始めたんです。といっても大都市では入札の競合も厳しいことが想定され、「地方へ行け」と、例えば人口2、3万人ぐらいの市町村に行っていました。2020年の12月頃、営業先で「これからワクチン接種業務が始まるので予約受付業務が必要になり困っている。コールセンター業務の提案をもらえないか」というお話が出ました。営業本部長がそれを聞いて、「これはいける」と多くの市町村に営業活動を行いました。当社コールセンターの受電管理システムの提供及び予約システム開発をパッケージで提案する、といった内容です。そんななかで県庁所在地の事業を契約できたという実績の影響は大きかったですね。

-「運」とおっしゃいましたが、以前からチャレンジしていてコロナ禍でさらに努力なさった結果、こういった案件が舞い込んできたのですね。例えば社員の育成に関して、特に工夫されていることはありますか。

日比 「技量はスペックとして分かる形にしろ」というのが、私の持論です。だから社員には、とにかく資格を取って、取った資格はすべて名刺に入れるようにしています。例えば全社員90名のうち、55%が総合旅行業務取扱管理者、24%がクルーズコンサルタントの有資格者です。地理検定3級以上・ハワイスペシャリスト検定初級以上に至っては95%の社員が取得しています。

 販売力は基本的にセンスで決まると私は思っていますが、誰でも知識を身に着けることによって優秀な販売員になれます。それで、「知識の習得をしなさい」とずっと指導してきました。

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