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ソリューションビジネスの強化で一本足打法から脱却へ―インフィニ トラベル インフォメーション代表取締役社長 植村公夫氏

  • 2022年3月30日

国内需要V字回復へ向けLCC対応も整備

 航空会社の直販拡大、新たな流通形態をもたらすNDCの登場、独自の流通ポリシーを持つLCCの増加という環境変化のさなかにコロナ禍に直面したGDS会社。日本マーケットに特化した和製GDSのインフィニ トラベル インフォメーションは、環境変化への対応とコロナ禍からの復活という2つの課題をどう克服していこうとしているのか。コロナ禍の丸2年間を含む4年間にわたり代表取締役社長を務めてきた植村公夫氏にその考えを聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

植村氏

-2020年、21年の営業実績を教えてください。

植村公夫氏(以下敬称略) 2020年は2月下旬からコロナ禍の影響が出始め、SARSの影響を受けた2003年以来の赤字となりました。2021年はアウトバウンド需要が回復せず、さらなるコスト削減に努め、赤字額は大きく減少しましたが、二期連続の赤字の見通しです。

 2022年は徐々にですが回復傾向にあります。2019年比で見ると1割未満とまだ低いものの、前年と比較するとセグメント数は1月、2月が3倍、3月は5倍。方面別ではアメリカとベトナム、フィリピン、タイが好調で、確実にこれまでとは違う明るい動きが出てきています。

-航空会社は直販化を進め、NDCも登場しました。今後、GDSが航空会社から得られる収益は減少していくとの見方もありますが、どのようにお考えでしょうか。

植村 航空会社から得るブッキング収入がGDSのメイン収入であるという収益構造がすぐに大きく変わるとは考えていません。というのも、NDCがマーケットに浸透するにはまだ少し時間がかかると思っています。航空会社のNDC対応準備はコロナ禍で遅れ気味ですし、旅行会社も精算についての対応といった課題もあるため、いきなりNDCに移行とはならないでしょう。

 とはいえ航空会社はコスト削減、パーソナライズ化への取り組みから、NDC導入を含む直販化は今後加速するでしょう。

 またコロナ禍によってビジネス客が落ち込み、コロナ後も完全な回復は望めません。そのためフルサービスキャリアとLCCとの棲み分けにも変化が生じ始めており、中距離路線でもLCCが台頭していくと思います。GDSを利用するLCCもありますが、基本的にはGDS流通を使わないというLCCが主流です。したがってLCCの拡大に伴い、GDS全体の取扱量は減少していきます。

-そうした事態にGDSとしてどう対応していくのですか。

植村 インフィニはGDSとNDCの両方に対応できるよう準備を進めています。ウィズコロナ、アフターコロナにおいても、日本発のアウトバウンドは旅行会社が流通の中心的な存在であり続け、そこは変わりません。インフィニも旅行会社をサポートするため、GDSにもNDCにもしっかり対応していかねばなりません。さらにLCCの販売ツールも用意しており、旅行会社のLCC販売も支えていきます。

 いずれにしても、GDSのブッキング収入に依存する一本足打法では生き残れません。今後は旅行会社と航空会社のビジネスを支援する各種ビジネスを幅広く取り揃え、ソリューションビジネス、サービスビジネスの領域を拡大して会社の構造を変えて行くつもりです。

 航空会社に対してはPSS(航空会社が座席の販売・管理と搭乗管理を行うために使用する基本システム)の提供や、運賃登録代行、マーケティング支援などを通じてこれまで以上に幅広く関係を構築していきます。

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