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【発行人コラム】自動車産業に匹敵、コロナ前の観光産業雇用創出効果

 ある仕事のために、コロナ前の旅行・宿泊業界の規模を調べていたのですが、情報が各所に散らばっており、まとめるのにそこそこ手間がかかったこと、一大産業である(あった)ことを再確認しましたので、ここで皆さんに共有させて頂きます。

 旅行会社と宿泊施設に従事されていた方だけで、65万人。旅行会社の総数は1万1000社、宿泊施設は5万1000軒、客室数に関しては170万部屋を超えており、旅行総消費額は28兆円。

 波及効果を含めた雇用創出効果は456万人(※)で、これは日本を代表する自動車産業従事者540万人と僅か15%しか差が有りません。

 これらが2年に及ぶコロナの影響によってどう変化したのか、私が調べた限り、誰も未だ発表していません。 しかし、従事者数や法人・施設数の変化を具体的な数字で示してこそ、社会的な影響や窮状の実態を政府や世間に知らしめることができます。

 さらには離職者数や倒産・廃業社数だけでは無く、観光産業外への出向者数、休眠・休業数などを含めた詳細な実態を把握せずに、観光産業がコロナ後に向けて、今なにをしなくてはならないか判断出来るはずが有りません。観光産業の各団体が互いに連携し、一日も早く実態調査を実施・公表し、それを踏まえた観光産業全体としての政府への要望・提言が成されることを強く望みます。

コロナ前の市場規模

◆従事者数
宿泊業(常雇用者) 54万4400人 2018年/総務省
旅行業(常雇用者) 10万4100人
ツーリズム産業従事者数  260万人 2019年/観光庁(波及効果込456万人)

◆旅行会社数
第1種旅行業者 691社 2019年/観光庁
第2種旅行業者 3,022社
第3種旅行業者 5,803社
地域限定旅行業者 267社
旅行業代理業者 675社
旅行サービス手配業 1,102社
合計 1万1560社

◆旅館・ホテル(施設数・客室数)
施設数 5万1004施設 2019年/日本旅行業協会
客室数 170万7078室

◆海外旅行者数・訪日外国人旅行者数
海外旅行者数 2008万0669人 2019年/法務省、日本政府観光局
訪日外国人旅行者数 3188万2049人

◆旅行消費額
日本人国内宿泊旅行 17.2兆円 2019年/観光庁
日本人国内日帰り旅行 4.8兆円
訪日外国人旅行 4.8兆円
日本人海外旅行 1.2兆円
総消費額 27.9兆円

※従事者数には諸説あります。2020年末に菅元首相がGoToトラベルに関連し「約900万人が観光関連に幅広く従事している」と発言され、野党から過大推計との批判を受けています。

国土交通省は以前、観光産業を以下のように定義しています。
「我が国の観光産業は、旅行業、旅行業者代理業、ツアーオペレーター(ランドオペレーター)と呼ばれる宿泊施設・食事・交通手段等の手配業、添乗サービス業、ホテル・旅館等の宿泊業のほか、 運輸業、娯楽施設、小売店・飲食店、製造業など非常に幅広い分野に及び、広範な経済波及効果や 雇用誘発効果が期待される産業である。」

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​